永住許可、心配な人のための法律要件チェックシート

永住許可申請の審査は、外国人に対する事実上の最終審査です。

このチェックシートは、永住許可要件に合致しているかどうかを申請の前に今一度確認するために作成しました。

どうぞお役立てください。

素行善良要件

法律上の要件

備考

以下に該当しないこと。

▢ 日本の法令に違反して、懲役、禁固又は罰金に処せられたことがある者。

▢ 日常生活または社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等素行善良と認められない特段の事情がある者。

▢ 少年法による保護処分が継続中の者。

・禁固以上の刑の執行の終了後、罰金以上の刑に処せられずさらに10年を経過したときは該当しない。罰金以下の刑は執行後5年。(刑の消滅、刑法34条の2)

・執行猶予期間を経過後、さらに5年を経過したときは該当しない。

・軽微ではない道路交通法違反歴(飲酒運転、無免許運転、20キロ超オーバー等で略式命令による罰金)や略式命令による罰金がある。

・軽微な法令違反(道路交通法違反等)を繰り返し行う者。

・資格外活動許可を受けてはいたものの、週28時間を超えて就労していたことがある。

・不起訴(起訴猶予)が複数ある。

独立生計要件

法律上の要件

備考

▢ 日常生活において公共の負担になっていないこと。

▢ その者の職業又はその者の有する資産等からみて将来において安定した生活が見込まれること。

※ 確認対象期間は申請の直近5年間。ただし、高度人材は直近1年又は3年間に、日配、永配は直近3年間に短縮される。

・生活保護を受給しておらず、現在及び将来において自活が可能と認められること。

・公共の負担になっているときは独立生計要件を満たさない。

・ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者及び子は国益適合要件として審査される(後述)。

・定住者である者が非課税状態であるときは予断を許さない。だたし、児童手当は問題ない(山脇)。

・配偶者等とともに構成する世帯単位でみる(注:常に世帯単位とは限らない模様)。

・経営・管理では、経営する会社の安定性及び継続性も審査される(山脇)。

・就労系資格では、おおむね300万円を満たしていないと不許可となる可能性が高い(山脇)。

・扶養親族がいるときは加重される。

・具体的な金額や基準は示されていない。

国益要件

法律上の要件

備考

▢ 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上本邦に在留していることを要する。(本邦在留要件)。

▢ 在留期間が最長であること。
(現行、3年を最長として取り扱う。)

(本邦在留要件)
・就労資格又は居住資格での在留は、永住申請の直近5年間について満たさなければならない。

・就労資格には、技能実習、特定技能1号は含まない。

・就労資格と居住資格の在留期間は合算できる。

(10年の特例)
・配偶者(日本人の配偶者等、永住者の配偶者等)は、実体を伴った婚姻が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留。(実体法上の身分関係があれば在留資格を問わない。)

・実子 (日本人の配偶者等、永住者の配偶者等) は引き続き1年以上本邦に在留。(同上)

・定住者を付与されたのち、引き続き5年以上本邦に在留。なお、日本人の配偶者等から定住者へ変更した場合は在留期間を合算できる。

・高度人材はポイントに応じて1年又は3年。

・このほか特区での特定事業、特定活動告示36号又は37号は3年。

・「我が国への貢献」に関するガイドラインに該当する者は5年。

(本邦在留要件を満たさない場合について)
※審査要領で特に配慮を要するとしている例
・本邦で出生した者又は親に同伴して入国した者で、義務教育の大半を我が国の学校教育法に基づく教育機関で修了した者。

・永住者として在留していた者で、海外留学や病気等やむを得ない理由により再入国の許可の有効期限経過後に上陸を認められ、かつ、入管法上の在留資格のいずれかをもって在留している者。

・配偶者又は親が永住許可相当と判断される場合の配偶者又は同一世帯に所属する子。

・就労資格又は居住資格で在留中の者で、出国中に病気等やむを得ない理由により再入国の許可の有効期限経過後に上陸を認められ、かつ、出国前と同一と同一の在留資格で在留している者。

(「引き続き」について)
・再入国許可ではなく数次ビザによる入出国は在留が継続していないとみなされる。

・コロナにより再入国許可の有効期限を経過したのち入国した場合であっても、一定の条件を満たせば在留が継続しているとみなされる。
入管ホームページ:https://www.moj.go.jp/isa/content/930006016.pdf

▢ 法令を遵守していること(納税、公的年金、公的医療保険の保険料納付など公的義務の履行のほか入管法上の届出義務の適正な履行)
※ 確認対象期間は、永住許可申請の直近2年間。

・納税、年金保険料、国民健康保料について、納期期限に遅れて納付したときは要件を満たさない。

・確認対象期間において納期期限内に納付していなければならない。

・特別徴収義務者(事業者)の責めによる未納は、本要件に適合しないものとして扱わない。

・申請人の扶養者についても公的義務の履行など法令遵守が審査の対象となる。

▢ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

▢ 著しく公益を害する行為をするおそれがないと認められること。

▢ 公共の負担となっていないこと。

・一類感染症、二類感染症、指定感染症、新感染症のほか麻薬等の慢性中毒者等でないこと。

・素行善良要件と同じ。現在及び過去の行状等から総合的に判断する。


・公共の負担となっている場合であっても、高齢、身体障害又は疾病等により明らかに就労することが困難であることが認められるときは当該理由を考慮する。

※ ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者及び子の場合に限る。

(その他のチェック事項)

・永住許可にかかる審査は、いわば入管としては当該外国人の在留に関する最終の審査になるため、詳細な審査が行われる。その過程で不都合な事実が露見することもある。

・再入国許可による出国期間が長期にわたり、本邦における生活基盤がないと思料される事案についても、単に年間の出国期間の合計日数のみを根拠に不許可とするのではなく、長期出国の理由、過去の出国期間、家族状況、そして本邦における今後の生活や活動の計画等を総合的に考慮して判断する。

・ほかの在留資格変更申請とは異なり、在留期間の特例(法20条第6項)の適用はない。

お読みいただきありがとうございました。


参考文献:入国・在留審査要領  永住許可に関するガイドライン  新版入管法の実務(山脇康嗣)

当サイト:「在留資格がとぎれても、日本に継続して在留しているとみなされる場合があります|永住許可

     「永住申請で国民年金の領収書をなくしたときの対処法

コメント