就労資格で働いていて、将来もずっと日本で働き続けたいと思っている。で、入管のHPを参考に永住申請に必要書類は揃えたけれども、これで大丈夫かな?と思っている方。
今回は、そんな方のために就労資格からの永住申請について5つのチェックポイントをお教えします。
お役に立てば幸いです
1.在留年数をチェック
在留期間が途切れることなく10年間あるか?
「途切れることなく」というのがポイントです。
数次ビザを利用して入出国したことがある方は要注意です!(再入国許可やみなし再入国許可での入出国は何の問題もありません。)
もし、数次ビザを持っている方が再入国の許可を得ずに出国してしまうと、その時点で在留期間が途切れたことになってしまいます。それまでの在留期間はカウントしてもらえず、また0から在留期間がスタートしてしまうので、申請の前に今一度ご確認ください。
数次ビザがあっても使わずに、入出国のつど、再入国許可やみなし再入国許可を利用していればOKですのでご安心ください。ただ、再入国期間は厳守してください。
※数次ビザとは、有効期間内に何回でも使えるものでマルチビザとも呼ばれます。なお、再入国許可にも数次有効のものがありますが、全くの別物です。
10年以上の在留のうち、5年以上が就労資格での在留か?
在留期間10年以上のうち、5年以上を就労資格で居住していなければなりません。
たとえば、日本の大学に4年間留学し、その後6年間就労資格であれば問題ありません。
ただ、就労資格は在留カード記載の在留期間が3年以上であることが必要です。在留期間が1年の場合は永住許可は絶対におりません。
在留カードの在留期間が足りなければ、まずは在留期間を3年以上にすることが永住申請への第一歩です。期間更新の申請にあたっては次のことに注意してください。
たとえば、頻繁に転職している、税金の滞納がある、社会保険未加入、軽微だけど交通違反を何度も繰り返す、生活が不安定、入管法上の届け出義務を怠る、などの不利な事情を改善する一方で、有利な事情は理由書や関係資料をそろえて積極的にアピールしましょう。
2.収入をチェック
一人世帯の場合、収入はおよそ300万円以上(控除前)が必要とされています。扶養する家族がいれば、必要な収入も当然増えます。
収入は世帯単位で審査されます。他に収入のある家族がいれば収入は合算されます。そのうえで、日本で経済的に安定した生活が送れるかどうか判断されます。
預貯金などの資産も考慮されますので、通帳等のコピーを提出したほうがいいでしょう。
海外の扶養親族が多い場合は注意が必要です。収入に不釣り合いなほど海外送金が多いと問題視されることがあります。
3.罰金や反則金の有無をチェック
軽微な交通違反などの反則金は、それが何回も繰り返されているのでなければ大きな支障とはならないと思われます。
しかし、交通違反でも略式起訴で罰金を支払ったことがあるとなると問題です。(酒気帯び運転、無免許運転、20キロ超のスピード違反など)
事情を詳細に説明して審査官の心証を少しでも和らげる必要があります。しっかりと書面にして、事情説明と反省を述べ、二度と繰り返さないことを誓約してください。(反則金を支払ったことがある場合でも同様です。)
なお、懲役、禁固などは、一定の期間を経過すればよいとされていますが、現実には永住許可の可能性は低いと考えなければなりません。
4.理由書をチェック
就労資格からの永住申請では、理由書も提出資料の一つです。来日してから現在にいたるまでの状況を時系列で説明し、なぜ永住許可申請をするのかを分かりやすくかつ説得的に書いてください。また、理由書に書いた事実を証明できる資料があれば一緒に提出します。
日本への定着性をアピールできているか?
就労資格を持っている方の中には、海外出張が頻繁にあるケースがあります。海外へ行っている期間が長い方は、理由書で日本に生活の本拠があるということをアピールしなければなりません。
たとえば、仕事上、海外出張・滞在が多くて日本にいる期間が短い方は、なぜそうなのか理由を十分に説明してください。
場合によっては会社から海外出張などを命じる文書などをもらっておくことも必要でしょう。
1年の3分の1以上の期間、海外にいるような方は特に注意が必要です。
日本と外国を自由に行ったり来たりしたいからと永住許可申請する人がいますが、このような方が永住許可を申請するのは、そもそも永住者の趣旨からはずれています。
仕事の安定性をアピールできているか?
長期間に亘って同じ会社に勤務し、会社の業績もいい、スキルを磨き、昇進もしているというのが理想ですが、現実はなかなかこうはいかないものです。
そうはいっても、できるだけ仕事の安定性をアピールすることは必要なのでぜひ書くようにしてください。
あなたのスキルや仕事上の成果などを裏付ける資料とともにアピールすることも有効です。
将来の活動予定
日本に永住を希望しているからこそ、永住申請をするのですから、当然日本における将来の生活設計があると思います。
具体的な計画(本国にいる家族を呼び寄せて子供を日本で育てたい、ノウハウやスキルを身に付けてゆくゆくは日本で会社を経営したい、など)があれば書いてください。
就労資格からの永住申請が、日本人の配偶者からの永住申請に比べて厳格な審査がされる理由は、真に生涯にわたって日本で暮らす考えがあるのどうかが問われているから、といえます。
5.提出資料をチェック
入管のHPに書かれている提出資料は何度も見て漏れがないかチェックしてください。
提出資料が単にそろっているだけではなく、その内容に矛盾や事実と異なることがないかも必ずチェックしてください。
もし、事実と異なる場合には、最悪のケース、事実と異なることを分かったうえで提出したとみなされることもあります。そうすると、将来の申請にも重大な影響がでてきますので細心の注意を払って確認をしてください。
また、入管のHPでは適宜の提出資料とされていますが、仕事先の社長、上司、同僚などから推薦状は是非とも用意してください。
とくに社長による推薦状は貴重です。あなたの仕事内容、会社への高い貢献度、さらに会社としてもあなたに永住許可を強く願っていることを中心に作成してもらうのが効果的です。
他に、会社のパンフレットやあなたの仕事の成果を明らかにする資料を提出するのもお勧めです
まとめ
1.在留年数をチェック 2.収入をチェック 3.罰金や反則金の有無をチェック 4.理由書をチェック 5.提出資料をチェック の5つについて書きました。
プラス事情は積極的にアピールし、マイナス事情もつつみ隠さず申告してフォローするという意識を持って永住申請に臨んでください。
蛇足ですが、日本に限らず、どの国でも入管は外国人にとって決してやさしい役所ではありません。日本も同じです。外国人にとって日本に在留するためには入管の許可が必要だという現実があります。さまざまに難しいことが待ち構えているでしょうが、なんとか頑張ってください。そのとき、このサイトの記事が万分の一でもあなたの役に立ったならば、それは私のこの上ない喜びです。
成功をお祈り申し上げます。
<参考> 永住許可に関するガイドライン(入管HP)