永住申請で国民年金の領収書をなくしたときの対処法

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国民年金保険料の領収書を失くしてしまい提出できない場合の対処法についてご紹介します。永住申請での年金関係の資料は、ようするに何を提出すればいいのか、ということです。

結論を先に言ってしまえば、出入国在留管理庁のホームページに記載されてはいませんが、「被保険者記録照会回答票」と「被保険者記録照会(納付Ⅰ・過不足納)」を取り寄せるのがもっとも簡単な方法です。実際に永住許可がおりていますので安心してください。

では、少し詳しくみていきましょう。

審査要領では年金納付の確認対象期間が永住許可申請の直近の2年間とされています。そこで、永住許可申請の直近2年間、どの年金に加入していたかを場合分けして提出書類を表にまとめました。

表の「提出書類1」または「提出書類2」のいずれか簡単な方を提出すればOKです。

永住者年金
永住許可申請と年金関係提出書類  佐々木行政書士事務所作成

1.厚生年金にのみに加入していた人

次のアまたはイを提出するか、それができない場合はウを提出すれば足ります。

ア.加入期間すべての納付状況がわかる「ねんきん定期便(封書)」

ハガキではなく封書で送られてきたものです。封書のねんきん定期便は、35歳、45歳、59歳の3回しか送られてきませんので、これが利用できる人は少ないと思います。

イ.各月の年金記録

「ねんきんネット」で印刷できますので日本年金機構(ねんきんネット)のページの案内にしたがって、各月の年金記録を印刷します。

ウ. 「被保険者記録照会回答票」と「被保険者記録照会(納付Ⅰ・過不足納)」

お近くの年金事務所から取り寄せることができます。この場合、上記ア、イの提出は不要です。 ねんきん定期便を失くしてしまった、ねんきんネットを印刷できない方にはお勧めです。年金事務所に基礎年金番号と住所を伝えれば郵送してもらえます。

2.国民年金のみに加入していた人

(1)直近24か月の領収証がすべてある人

ア.国民年金保険料の領収書コピー(24か月分)

申請する時点で直近24か月の領収証をすべてお持ちの方はそれをコピーして提出すれば足ります。

(2)直近24か月の領収証が全くないか一部欠けている人

次のア、イ、ウをそろえて提出するか、または、エ.だけを提出すれば足ります。

ア.国民年金保険料の領収書(ある分だけ)

イ.各月の年金記録

「ねんきんネット」で印刷できます。日本年金機構(ねんきんネット)のページの案内にしたがって、各月の年金記録を印刷します。

「ねんきん定期便」を代わりに提出することもできます。

ウ.国民年金保険料の領収書が提出できない理由書

エ.「被保険者記録照会回答票」と「被保険者記録照会(納付Ⅰ・過不足納)」

お近くの年金事務所から取り寄せることができます。この場合、上記ア、イ、ウの提出は不要です。簡単でお勧めです。

※ この方法だと、24か月分の国民年金保険料の領収書が提出できない理由書は提出せずにすみます。国民年金保険料を納付した日付は、エ.の書類で分かるからです。つまり、入管は納付日を確認したいのです。納付期限に遅れて納付していることが分かれば、それだけで不許可です。ここは実に機械的な判断です。

3.厚生年金と国民年金に加入していた人

次のア、イいずれも必要です。ア、イがなければ、ウだけで足ります。

ア.「各月の年金記録」と「国民年金の年金記録(各月の納付状況)」

「ねんきんネット」で印刷できます。日本年金機構(ねんきんネット)のページの案内にしたがって、各月の年金記録を印刷します。

「ねんきん定期便」を代わりに提出することもできます。

イ.国民年金保険料領収書のコピー(提出できない場合はその理由書)

ウ.「被保険者記録照会回答票」と「被保険者記録照会(納付Ⅰ・過不足納)」

年金事務所から取り寄せることができます。この場合、上記ア、イの提出は不要です。

※ この方法だと、国民年金保険料の領収書が提出できない理由書は提出せずにすみます。理由は、国民年金保険料を納付した日付が上記書類で分かるからです。領収書は納付日を確認するために必要なのです。

4.国民年金の領収書をなくした方、「各月の年金記録」の印刷ができないという方

国民年金保険料の領収書を保管している人は少ないでしょうし、また、プリンターがないと「各月の年金記録」も印刷できません。

こんな場合は、年金事務所に電話して基礎年金番号をつたえて、年金事務所発行の「被保険者記録照会回答票」および「被保険者記録照会(納付Ⅰ・過不足納)と(納付Ⅱ)の郵送を依頼できます。

これを入管に提出すれば、領収書をあちこち探す手間もはぶけますし、領収書を提出できない理由書も必要なくなります。また、ねんきんネットで「各月の年金記録」を印刷できない方にもおすすめの方法です。私もお客様にはこの方法をお勧めしています。電話一本で済みますので、結局これが一番簡単です。

5.未納期間をなくしましょう

国民年金に加入している人で将来、永住者になりたいと考えている方は、国民年金の免除・納付猶予制度、学生特例納付制度を利用して未納期間をつくらないことが大切です。

また、国民年金に加入していて、過去24か月分の領収書をすべて提出できる人以外は、年金の納付状況が直近過去2年間に限らず、すべて入管に知られることになります。そこで、未納期間があったりや納付期限を守っていなければマイナスの評価となる可能性があります。もっとも、過去2年間、適正に納付していれば、決定的なマイナスにはなりません。

とはいえ、未納期間を作らないことにこしたことはありません。保険料を納付する余裕がないときでも、免除・納付猶予制度を利用して、10年以内に追納してください。追納して未納期間がなくなれば、永住審査ではマイナスにはなりません。なぜなら、法にのっとった適正な納付だからです。

ですので将来、永住を考えている方は、いまのうちから①免除・納付猶予制度を利用して後で追納できるようにしておく、また、②免除・納付猶予を申請していなかったとしても過去2年間は追納できますので、できるだけ追納して未納期間をなくすことを強くお勧めします。永住者になるということは日本社会の一員として生きていく選択をすることなのですから。

6.運用は変化するもの

年金をはじめとして健康保険など社会保険の加入、納付についてはずいぶん厳しく審査されるようになりました。過去2年間に限ると、納付はしていても納付期限に遅れて納付していることが分かれば、それだけで不許可になってしまう運用がなされています。

審査の厳格化には、社会的背景、主として地方自治体からの意見が背景にあるようです。中には、税金を滞納してる人には永住許可を取り消すべき、日本語能力についても永住許可の要件とすべき、などきびしい意見が寄せられています。時代とともに永住許可の要件は運用によって変化し続けるものと思います。

お読み頂き、まことにありがとうございました。