子供「なし」と申請していると将来呼び寄せるのがむずかしくなります

あなたが質問書を前にして、もし、子供のことを書こうか書かないか迷っているとしたら、また、子供のことを書くと不利になると誰かに言われているとしたら、かならず読んでください。

子供を呼び寄せられなかった悲しい事例

日本人男性と結婚し「日本人の配偶者等」の在留資格で来日、その後帰化された方から子を呼び寄せたいとのご相談事例です。

ご自身で2回申請したけれども不交付となりました。事情を聞くと、ご自身の在留資格認定証明書交付申請のとき、本当は子がいるのに子はいないと質問書に記載していたとのことです。

理由は、子がいないほうが認定が許可されやすいと友人に聞いたから、とのことでした。また、帰化申請のときも子はいないとしていました。

虚偽申請をすると重大な不利益が

不許可の理由として審査官から「どのような書類を提出されても、こちらとしてはこの方が提出する書類への信頼が失われてしまっています」と言われ、審査官の心証が非常に悪いものであることを痛感しました。審査官の心証は個人だけのものではなくて記録として残り共有されます。

在留資格認定証明書交付申請と帰化申請の2度にわたって虚偽の申請をしたことが問題視された結果です。

申請内容に虚偽があると、別の申請にも重大な影響が

入管では何年も前の申請であっても申請書類を保存しています。過去の申請と今回の申請に矛盾がないかどうかは調べればすぐに分かるしくみになっています。

ですので、申請書類はなんども見直して間違いのないように万全を期してください。

申請を行政書士に頼むときにも、必ず全ての申請書類のコピーをもらうようにしてください。

(申請書類のコピーは渡さないという人に絶対に任せてはいけません)

なお、子がいると申請が許可が下りにくいなどということはありません。根も葉もない噂です。

参考判例

事案の概要:

Bさんは、在留特別許可を得て日本に引き続き在留できることとなったことから、本国にいる子を日本に呼び寄せようと入管に在留資格認定の手続きしました。しかし、入管は、Bさんが過去の申請において子がいない旨を申告していたため、親子関係に疑問があるとして申請を不許可としました。

裁判所の判断:

「Bが自らについての在留特別許可を得る際に原告(実子)の存在を秘匿したからといって、原告の出生日に関しBが届け出た内容に信憑性が欠けることにはならない」(東京地裁平18(行ウ)113)

解説:

入管は、Bさんには、自分が在留特別許可を得たいがために有利な方向に事実を歪曲する傾向があるのでBさんの言うことや提出した証拠は信用性に欠けると主張したのに対して、裁判所はそれとこれとは無関係と判断したものです。

つまり、Bさんが自分の申請にあたって過去提出した申請書類のなかに虚偽があった事実は、今回の別の申請(本人ではなく子)で提出した証拠の信用を落とすものではない、と判断したものです。

先にあげた事例の援護射撃になる判例です。
とはいえ、入管の虚偽申請にたいする態度はたいへん厳しいことがわかります。


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