実例紹介:日本人の配偶者等になって6年、1年ごとの更新がやっと3年に

事例:

受任した当時、その夫婦は結婚7年目、妻が来日してから6年がたっていました。夫はサラリーマンで管理職、収入面の問題はまったくありませんでした。
ところが、日本人の配偶者等を何回更新しても在留期間1年のまま。実はご夫婦には思い当たることがありました。妻が毎年帰国していて、その期間もかなり長かったことです。
このマイナスをカバーするため妻は更新の申請のたび、理由書を提出していました。親族の看病、自身も病気があって本国での治療を望んだことなどが内容です。病院の通院記録や医者の診断書なども提出しました。
しかし、結果は1年しかもらえませんでした。

対策:

まず、来日してから現在までの出入国スタンプが押されている妻のパスポートから日本で同居していた期間を確認しました。すると、(本国に帰国していた日数)÷(来日してから現在までの日数)=6割以上、ということが分かりました。
これだけの期間本国に帰国していたとなると、しかも6年間をトータルで。こうなると毎回の「親族の看病、自身も病気」などという理由も入管は疑いの目でみていたに違いありません。
これは、同居が疑われている事案ではないかと思いました。どういうことかというと、海外ではなく、妻が日本に居住している間夫と同居しているのかどうかが疑われている事案だということです。
これだけ長期間、本国に帰国しているのは夫婦の結びつきが弱いのではないか、とすれば日本国内に居住しているときも別居しているのではないか、こんな疑いをもたれていると考えたわけです。
ではどうやって同居していることを主張するか?
過去の申請について聞くと、夫は身元保証書など決められた以外の書類を提出してません。こんなところからも、二人の関係が疎遠なのではと疑われていたのかもしれません。
そこで、今回の申請では夫に更新の理由書を書いてもらうことにし、妻からの理由書は提出しないことにしました。
書く内容の概略、項目は私から書面を渡して、それをもとに作成してもらい、作成したものを私が点検し、修正すべきは修正してもらい、付け加えるべきは付け加えてもらう工程を繰り返しました。さらに、二人で国内旅行に行ったときの写真も提出しました。

結果、3年の在留期間が許可されました。今は永住許可申請中です。

補足:

日本人配偶者等の場合、1年から3年を許可する場合の審査項目は?

日配5年
入国・在留審査要領より抜粋

上記は5年が決定されるケースです。①~④に該当しなくなると3年にランクが下がります。

日配3年
入国・在留審査要領より抜粋

これは、日本人配偶者等の在留期間を決定するときの基準です。
わかりづらい書き方なので説明します。①は5年の在留期間が決定されていた人が、なにかしら問題があって3年に短縮される場合を示しています。
読み方は、aに該当する(5年の条件に該当しない)としても、bには該当する場合、つまり、aのマイナスはあるので5年は認めない、ただ、まるっきりダメではなく、bには該当するのでランクは1つだけ落として3年にします、ということです。

日配1年
入国・在留審査要領より抜粋

②と③が重要です。②は婚姻生活に焦点をあてたもの、③は②以外のすべてのことに対したものです。いずれも、1年に1度確認の必要があるので1年しか認めない、ということです。
紹介した実例は、上記②には該当しなくなった、つまり「別居の疑いは晴れたので②には該当しない」という実例あると私は解釈しています。

ご参考になれば幸いです。