新法でどう変わった技能実習制度、わかりやすく解説します

技能実習生受入れを検討しているが、まずは大づかみに新制度の概要を知りたい、という方に向けた記事です。

<この記事のポイント>

  • 技能実習生受入れまでのステップ
  • 6つの主要改正点
  • 技能実習生受入れ枠の拡大

技能実習生受入れまでのステップ

ここでは、事業協同組合を設立して行う団体監理型技能実習*¹を例に技能実習生受入れまでのステップをごく簡単にご説明します。

*¹団体監理型技能実習とは: 中小企業団体、商工会議所、農協、漁協などの非営利団体が監理団体となって行われる技能実習をいいます。

step 1. 事業協同組合(中小企業団体)を設立する

この事業協同組合が監理団体となって技能実習生受入れの中心的役割を担うことになります。

step 2. 監理団体の許可を受ける

新制度では、監理団体は主務大臣の許可を受けなければなりません。申請は外国人技能実習機構(以下、機構といいます)に行います。

step 3. 技能実習計画の認定を受ける

新制度では、技能実施者*²は技能実習生ひとりごとに技能実習計画を作成しなければなりません。

実習実施者は監理団体の指導を受けて技能実習計画を作成し、機構から認定を受けることとされています。

なお、自ら監理団体を設立せずに、すでに許可を受けている監理団体に加入する場合はこのstep 3.からスタートします。

*²実習実施者とは: 事業協同組合の組合員で技能実習を実際に行う者をいいます。

step 4. 入国管理局に申請する

機構から技能実習計画の認定を受けると実習実施者に認定通知書が交付されます。実習実施者はこれを監理団体に送付し、そして監理団体がこの認定通知書を添付して入国管理局に在留資格認定証明書交付申請を行います。

step 5. 技能実習生の入国

step 4. で在留資格認定証明書が交付されましたら、技能実習生に送り、本国の在外日本公館でビザを取得して入国します。

実際に技能実習を開始したなら機構に届出も必要です。

6つの主要改正点

外国人技能実習機構の新設

外国人技能実習機構(以下、機構といいます)は新法において新たに設立されました。技能実習制度全般にわたり広範な権限をもっています。

機構の主な業務は、次のとおりです。

  • 監理団体の許可申請の受理(調査は機構が、許可は主務大臣が行います)
  • 技能実習計画の認定
  • 実習実施者の届出の受理
  • 実習実施者や監理団体に対する指導監督(実地検査・報告徴収)
  • 技能実習生からの申告・相談の窓口

技能実習計画の認定制

新制度では、技能実習を行わせようとする者(実習実施者)は、技能実習計画を作成し、その技能実習計画が適当である旨の認定を受けることとされています。

技能実習生ひとりごとに作成する必要があり、また、申請書のほかさまざまな添付書類の提出が求められます。

実習実施者の届出制

実習実施者が技能実習を開始したときには、遅滞なく届け出なければなりません。

この届出は技能実習計画の認定を受けて技能実習を行わせる都度ではなく、実習実施者においてはじめて技能実習計画の認定を受けて技能実習を開始したときのみでよいとされています。

監理団体の許可制

新制度では、監理事業を行おうとする者は、主務大臣の許可を受けなければなりません。

監理団体の許可には、一般監理事業許可と特定監理事業許可の2区分があります。

一般監理事業の許可を受けると、1号から3号まで(最長5年)の技能実習の監理事業が可能です。

特定監理事業では、1号と2号(最長3年)のみ可能です。

技能実習生の保護

新制度では、技能実習の強制、違約金設定、旅券又は在留カードの保管等について法律で禁止規定がおかれており、罰則も定められています。

また、実習実施者又は監理団体に法令違反があった場合に、技能実習生がこのことを主務大臣に通報・申告できることも規定されています。

送出機関の認定(二国間取決め)

外国の不正な送出機関を排除するため規制が強化されました。

今後、日本政府と外国政府との間で二国間取決めを順次作成することとして、送出国の政府がその国の送出機関を審査して適正なもののみを認定することになりました。

この二国間取決めに基づく制度に移行したあとは、当該送出国の政府が認定した送出機関以外からの技能実習生の受入れはできません。

ただし、二国間取決めに移行する前から受入れている技能実習生は、かりにその送出機関が外国政府の認定を受けられなかった場合でもそのまま技能実習を継続することが可能とされています。

技能実習生受入れ枠の拡大

監理団体が一般管理事業の許可を受けている場合であって、かつ、実習実施者が優良な場合には技能実習生の人数枠が拡大されます。

たとえば、実習実施者の常勤職員数が50名の場合、基本人数枠は1号と2号の合計で15名が上限です。

これが、監理団体が一般管理事業の許可を受けていて、かつ、実習実施者が優良と判断されたた場合には(技能等の修得等をさせる能力につき高い水準を満たすと認められる者)1号、2号、3号の合計で60名までの受入れが可能となります。

※ 特定の職種の場合はこれとは異なる場合があります。例:介護など

まとめ

今回は、新しい技能実習制度を大づかみにご紹介しました。

新制度は、技能実習生の受け入れ枠の拡大と規制強化による技能実習制度の適正化という2つの側面(アメとムチ)に特徴があります。

さらに、詳しい内容をお知りになりたい方は、厚生労働省・法務省編「技能実習制度 運用要領」がとても役立ちます。

資料集

外国人技能実習機構HP

外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)について(厚労省)

外国人技能実習制度への介護職種の追加について(厚労省)

技能実習法による新しい技能実習制度について(法務省)

公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)HP

新潟市中央区女池南2-2-10-2C

佐々木行政書士事務所