建設業界で外国人材を受け入れる仕組みはとても複雑です。さまざまなビザ・在留資格があることと、受け入れに関係する団体や制度が多数あることが原因です。
このページでは、はじめて外国人材の受け入れを検討する建設業界のみなさまに役立てていただく目的で、制度や仕組みを大づかみでご説明いたします。
ビザの組み合わせと就労可能な年数
この図は、ビザ(在留資格)の組み合わせと在留期間を表したものです。全部で8パターンあります。
技能実習1号と2号のビザで合計3年がもっとも短いものです。特定技能2号、技術・人文知識・国際業務ではビザの更新が許可されれば何年でも日本で働いてもらえます。この2つのビザは家族の呼び寄せも可能です。
ビザを延長(更新)したり、ビザを変更するときには出入国在留管理局(入管)に申請して許可を受けなければなりません。不許可となりますと、日本にはいられなくなりますので、大切な申請です。
図のなかで色が変わるのはビザの変更が許可されたら、という意味です。必ず許可されるとは限りませんので注意してください。
※ 技能実習3号に移行するには監理団体、受入れ企業それぞれに一定の条件があります。
※ 特定技能2号への移行には試験があります。
それでは次にそれぞれのビザ・在留資格について見てみます。
技能実習
仕事の内容
技能実習生が従事できる建設分野の職種と作業は次の通りです。
技能実習生が従事できる職種・作業はこの図の通りです。背景がグレーの部分は特定技能ビザに変更が可能な職種・作業です。背景が白である職種・作業は特定技能ビザに変更できませんので、技能実習期間が終われば帰国が原則です。
職種・作業の詳細は、外国人技能実習機構HPに掲載されていますので、御社での作業と合致するかどうか確認してください。合致しないときは受け入れられない可能性があります。下のリンクからご確認いただけます。
出所)外国人技能実習機構 移行対象職種情報
https://www.otit.go.jp/ikoutaishou/
関係団体
外国人技能実習機構
「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」により2017年に設立されました。
主な業務は次の通りです。技能実習制度の中核を担っています。なお、上の図では単に「機構」と表示しています。
- 技能実習計画の認定
- 実習実施者・監理団体への報告要求、実地検査
- 実習実施者の届出の受理
- 監理団体の許可に関する調査
- 技能実習生に対する相談・援助
- 技能実習生に対する転籍の支援
- 技能実習に関する調査・研究
監理団体
技能実習生を受入れる企業の指導・支援、海外の送り出し機関との契約、外国人技能実習機構に実習計画を提出、出入国在留管理局に在留関係手続などを行う団体です。
技能実習制度のなかで果たす役割は大きく、御社の技能実習生の受入れが成功するかどうかは、監理団体にかかっているといえます。ですので、監理団体選びは慎重になさってください。
特定技能
仕事の内容
特定技能ビザを有する人が従事できる建設分野の業務区分は次の通りです。
特定技能ビザの方が従事できる仕事(業務区分)は、この図の通りです。背景がグレーのものは技能実習2号又は技能実習3号を修了した方が移行できる業務区分です。また、留学生なども技能試験・日本語試験に合格すれば就くことができるものです。
背景が白の図は、技能実習にはなく、特定技能で新たに設けられた分野です。この分野に従事するには、技能試験・日本語試験に合格することが必要です。
それぞれの業務区分の詳細については、下記のリンクでご覧いただけます。御社で予定している作業内容と異なるときは受け入れることができない可能性がありますので、よくご確認ください。(判断が難しいときは、各地方整備局に問い合わせることができます。)
出所)出入国在留管理庁:「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(建設分野の基準について)」より抜粋
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001333957.pdf
建設分野に特徴的なしくみ
建設分野には次のような特徴的なしくみがあります。
- 受入企業は、(一社)建設技能人材機構(JAC)に直接又は間接的に加入することが必要
- 受入企業と建設特定技能外国人は、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録することが必要
- 受入企業は、建設業法第3条の許可をとることが必要
- 受入企業は、以下2つの申請をし、それぞれ認定を受けることが必要
①国土交通省(地方整備局等)への建設特定技能受入計画の申請
②出入国在留管理庁(地方出入国在留管理局)への在留資格審査の申請 - 受入企業は、外国人の受入れ後、受入れ後講習を受講させることが必要
- 計画通りの適正な就労を行っているかどうか、巡回指導等により確認を受けることが必要
※ 建設技能人材機構 JAC
建設業者団体等が共同して設立した法人で、建設技能者全体の処遇改善、アウトサイダーやブラック企業の排除、他産業・他国と比して有為な外国人材の確保等の課題に対応することを目的としています。特定技能外国人を受入れる会社は、直接に又は間接的に加入しなければなりません。
※ 国際建設技能振興機構 FITS
JACから適正就労監理事業の委託をうけて、企業への巡回指導、外国人との面談、母国語相談ホットライン、受入れ後講習などを担当します。
技能実習との比較
※ JAC正会員の傘下の特定技能受入れ企業は、JACに対する年会費(24万円から36万円)の負担はありませんが、JAC正会員の傘下に入るための費用はそれぞれの正会員(建設業者団体)によってはかかるかもしれません。詳しくは、JAC又は各建設業者団体までお問い合わせください。電話03-6453-0220(JAC)。
技術・人文知識・国際業務
技能実習や特定技能とはことなり、いわゆるホワイトカラーの技術者、エンジニアのためのビザです。在留期間はビザを更新すれば制限はありませんし、また本国の家族を呼び寄せることも可能です。工学部などの大学卒業生や技術系の専門学校卒業生に適したビザです。
以上、建設業の皆様が新たに外国人材を採用する際のアウトラインについてごく簡単ではありますが書きました。ご参考になれば幸いです。
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