生活保護を受給していても永住許可されうる在留資格とは

【この記事のポイント】

  • 永住許可をする要件の一つに「独立生計」要件があります。
  • 「独立生計」とは、日常生活で公共の負担にならずにその人の資産や技能などで今後も経済的に安定した生活が見込まれること、ということです。
  • 日本人の配偶者には、法律上、独立生計要件は課せられていません

そうすると、生活保護を受けていることは公共の負担になっていることですので、「独立生計」要件は満たさないことになり、生活保護受給者からの永住申請は一律不許可になりそうです。

入国・在留審査要領によると

入管の内部基準である入国・在留審査要領には次の記述があります。

入国・在留審査要領から抜粋

(カ)公共の負担となっていないこと

①入管法第22条第2項ただし書き又は第61条の2の11の適用を受けない者が、公共の負担となっている場合、独立生計要件は満たさないものと判断される。

②入管法第22条第2項ただし書きの適用を受ける日本人、永住者又は特別永住者の配偶者及び子の場合、公共の負担となっていたとしても、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」の要件に該当しないことをもって、永住許可の法律上の要件を満たさないとすることはできない。

(以下、黒塗り)

これから分かることは、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者及び子はこれ以外の在留資格、例えば、経営・管理、技術・人文知識・国際業務、定住者などと違って、公共の負担(生活保護の受給)となっていても直ちに永住申請を不許可とはしない取り扱いになっていることです。

一方、経営・管理、技術・人文知識・国際業務、定住者などの在留資格からの永住申請は、独立生計要件が厳しく求められますので、生活保護受けている場合には許可されません。

とはいえ、上記の文章の後には7行ほど黒塗りの部分があります。おそらく、難民の認定を受けている申請者、生活保護を受給している申請者についての審査のポイントが書いてあると推測されます。

生活保護を受給してしていることを、全く問題としないという趣旨ではないと思います。

在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン

この黒塗りの部分に何が書いてあるのでしょうか?

ヒントは、在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドラインにあると考えます。

在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドラインから抜粋

4 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること 申請人の生活状況として,日常生活において公共の負担となっておらず,かつ, その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること (世帯単位で認められれば足ります。)が求められますが,仮に公共の負担となっ ている場合であっても,在留を認めるべき人道上の理由が認められる場合には,その理由を十分勘案して判断することとなります。

たとえば、生活保護をなぜ受給するようになったのか、その期間は、今後の見通し、また、家族構成などから人道的配慮をが必要かを総合的に判断することになるでしょう。

まとめ

やむを得ず生活保護を受給するようになっても、日本人の配偶者などであれば永住許可が下りる可能はあります。

少なくとも、入国・在留審査要領では否定されていません。

なお、混同しやすいのですが、生活保護を受けている方が外国から配偶者や子供を呼び寄せることは法律上できませんのでご注意ください。(入管法第5条第1項3号)

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