専門学校生の技人国変更、許可された事例の分析(続々編)

今回は、ガイドラインから専門学校を卒業して技術・人文知識・国際業務への変更が許可された事例を紹介し、解説する。

出典:「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について(別紙3 6ページ)
http://www.moj.go.jp/isa/content/001343664.pdf

何を学んで、どんな業種でどんな業務が許可されたのか

卒業学科履修科目(業種)
従事する業務
1)マンガ・アニメーション科ゲーム理論
CG
プログラミング
(コンピュータ関連サービス)
ゲーム開発
2)電気工学科不明(電気工事の設計・施工)
工事施工図作成
現場職人の指導・監督
3)建設室内設計科不明(建築設計・設計監理、建築積算)
建築積算
4)自動車整備科不明(自動車の点検整備・配送・保管)
自動車の基幹部分の点検・整備・分解
自動車検査員
5)国際IT科プログラミング(金属部品製造)
ホームページの構築
プログラミングによるシステム構築
6)美容科不明(化粧品販売)
ビューティーアドバイザー
美容製品の商品開発
マーケティング
7)ゲームクリエーター科3DCG
ゲーム研究
企画プレゼン
ゲームシナリオ
制作管理
クリエイター研究
(ITコンサルタント)
ゲームプランナー
海外向けゲームの発信
ゲームアプリのカスタマーサポート
8)ロボット・機械学科CAD実習
工業数理
材料力学
電子回路
マイコン制御
(工作機械設計・製造)
部品図面の確認
精度確認
加工設備のプログラム作成
9)情報システム開発学科C言語プログラミング
ビジネスアプリ-
ケーション
ネットワーク技術
(電気機械・器具製造)
現場作業用システムプログラム作成
ネットワーク構築
10)国際コミュニケーション学科コミュニケーションスキル
接遇研修
異文化コミュニケーション
キャリアデザイン
観光サービス
(人材派遣・人材育成・研修サービス)
外国人スタッフの接遇教育
管理等のマネジメント
11)国際ビジネス学科観光概論
ホテル演習
料飲実習
フードサービス論
リテールマーケティング
簿記、ビジネスマナー
(飲食店経営の本社事業開発室)
アルバイトスタッフの採用、教育
入社説明資料作成
12)観光・レジャーサービス学科観光地理、旅行業務
セールスマーケティング
プレゼンテーション
ホスピタリティ論
(大型リゾートホテル)
総合職:フロントでの翻訳・通訳
予約管理
コンシェルジュ
顧客満足度分析

*他の日本人総合職と同様の業務に従事

一部に技人国に該当しない業務あり
13)ロボット・機械学科
工業専門課程
基礎製図
CAD実習
工業数理
材料力学
電子回路
プロダクトデザイン
(金属工作機械製造)
機械の制度調整
加工設備のプログラム作成
加工工具の選定
工作機械の組立作業

*初年度研修あり

他の日本人従業員についての追加調査あり

コメント

● ここまで計3回にわたって、専門学校生の不許可事例17件、許可事例13件をみてきた。

文系理系不明
不許可1241
許可391(美容科)

これをみると理系のほうが有利にみえてくる。だがサンプル数がごく少ないので、あくまで印象にとどめておくことにする。

● 文系の許可事例、10)、11)、12)をみると、業種もおおきく影響していることがわかる。

10)の「外国人スタッフの接遇教育」は人材派遣業だから業務量に問題がないとされたはずだ。一企業の接遇教育であれば業務量はクリアできなかっただろう。


11)の「アルバイトスタッフの採用、教育」は履修科目と従事する業務の関連性がかなりあやしい。飲食店経営の本社事業開発室に勤務する予定であること、本人も「料飲実習」「フードサービス論」を履修していたことがポイントをあげたのではないか。


12)は、履修と主たる業務の関連性に問題はない。注目すべき点は、主たる業務が技人国に該当するものの、従たる業務に技人国には該当しない業務があることを認めつつ許可していることだ。他の日本人総合職も同様の業務であることを考慮し全体として問題なし、としたのだろう。「総合職」採用で他の日本人従業員と同等待遇であったことが許可決定を後押ししたといえる事例だ。

● 理系については、見てのとおりとくにありません。理系は楽でいいですね。

● 6)の美容科が異彩をはなってますね。履修した科目が書かれていないのが残念です。

● 4)の自動車整備科も履修した科目がないのが残念。念のためいいますが、自動車整備科イコールOKではありませんよ、誤解しないように。入管の審査要領では自動車整備は黒塗りされて非公開です。限界事例とされています。「基幹部品」と「車検」がキーワードなのかな。

ご参考になれば幸いです。