ご存知ですか?「国際業務」が「人文知識」の基準で審査されるケース

技術・人文知識・国際業務のうち、「国際業務」カテゴリーとされている仕事であっても、実務経験が不問となることが通訳・翻訳以外にもあることをご存知ですか?入管の審査要領をもとにご説明します。

「国際業務」カテゴリーの要件

「国際業務」カテゴリーの要件は、次の業務内容要件と実務要件の2つです。原則としてどちらも・・・・みたしていることが求められます。

  • 【業務内容要件】 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾もしくは室内装飾にかかるデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。

(注) 業務は「これらに類似する業務に限定したものである」(審査要領)とされています。外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務のなかでも、例示された業務との類似性が必要とされ、しかも「限定したもの」とされていますので、業務内容はそれほど広くないと推測されます。

  • 【実務要件】 従事しようとする業務に関連する業務について3、年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導にかかる業務に従事する場合は、この限りでない。

(注)ただし書があることで、実務要件が不要とされるのは、大卒で、かつ翻訳、通訳又は語学の指導にあたる場合だけ・・と思われがちですが、そうではありません。実務要件が不要とされる範囲はもっと広いのです。

実務要件が不要とされる場合

行おうとする活動が第2号イに列挙されている「翻訳,通訳,語学の指導,広報,宣伝又は海外取引業務,服飾若しくは室内装飾に係るデザイン,商品開発その他これらに類似する業務に従事する」場合であっても,大学等において,これらの業務に従事するのに必要な科目を専攻し,卒業したもの又は本邦の専門学校を修了し,専門士の称号を得たものである場合は,第1号が適用される。

審査要領(12編、15-11)より引用

要するに、「国際業務」カテゴリーとされている翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引、服飾・室内装飾デザイン、商品開発に従事する場合であって、大学や日本の専門学校でこれらの業務に必要な専攻して、卒業していれば実務要件は問わないとされています。


「第1号が適用される」とあるのは、「技術」、「人文知識」カテゴリー共通の上陸許可基準が適用されるということです。これら2つのカテゴリーは、学歴要件または・・・実務要件のいずれか・・・・に該当すればよいわけですから、学歴要件(大卒、日本の専門学校卒など)を満たしていさえすれば、実務要件は不要ということになります。

たとえば、日本の専門学校で翻訳通訳科などを卒業していれば、実務経験はなくとも通訳の仕事につくことは可能ですし、実際に許可されています。語学関係にかぎらず、広報、宣伝、海外取引、服飾・室内装飾デザイン、商品開発に従事する場合も同様です。

まとめ

実務経験が求められる「国際業務」カテゴリーであっても、大学や日本の専門学校で関連する科目を専攻して卒業し、又は専門課程を修了した人は、実務経験がなくても技術・人文知識・国際業務の在留資格が認められる可能性があります。

ご参考になれば幸いです。

※ 実際に、在留資格が認められるには、ここで述べた以外にもさまざまな要件が必要です。ご興味のある方はメールフォームからお願いします。