専門学校を卒業して専門士となり、通訳、翻訳または語学指導の仕事につきたいと考えている留学生向けの情報です。
方法は2つ考えられます。
1つは、「技術・人文知識・国際業務」のうち国際業務カテゴリーで申請する方法。
もう1つは、人文知識カテゴリーで申請する方法です。
1.国際業務カテゴリーで変更を申請する
「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に国際業務カテゴリーで変更する場合には、次の2つともクリアしていなければなりません。
① 仕事が翻訳、通訳、語学の指導に関するものであること(業務内容要件)
仕事が翻訳、通訳、語学の指導関するものかどうかは、仕事の量で判断されることになります。
具体的には勤務先の業務内容から判断して翻訳、通訳のために従業員を一人雇うだけの業務量がはたして見込めるのかどうかが厳しく判断されます。
それほどの業務量がないとなると、ほかの業務をするためであり、翻訳、通訳、語学の指導に関する業務ではないと判断され不許可になります。
② 3年以上の実務経験があること(実務要件)
専門士には大卒者と異なり実務経験が求められます。実務経験があるならば、それを書面などで証明してください。
2.人文知識カテゴリーで変更を申請する
「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に人文知識カテゴリーで申請する場合には、次のいずれか1つをクリアしていなければなりません。
① 翻訳、通訳、語学の指導に必要な科目を専攻していること(学歴要件)
専門学校の日本語学科で日本語の学習をしただけではダメです。翻訳通訳学科を卒業していることや、出席率、履修成績も審査の対象になります。また、日本語能力試験もアピールしてください。N4では足りません。
ただし、どの就労資格であっても業務内容や業務量が問われないということではないことに注意が必要です。下記の4.参考事例がその例です。
② 10年以上の実務経験があること(実務要件)
この要件をみたす人はまずいないでしょう。
3.国際業務と人文知識を比べてみると…
専門士が翻訳、通訳、語学の指導の仕事につくばあいでも、国際業務カテゴリーと人文知識カテゴリーの2つのルートがあることを説明しました。
違いは、国際業務カテゴリーでは業務内容要件と実務要件の2つとも必要なのに対して、人文知識カテゴリーでは学歴要件と実務要件のいずれか1つでよいことです。
専門学校に通う留学生で通訳などの実務経験がないのであれば、国際業務カテゴリーでの申請はムリです。
そこで、実務経験がかならずしも必要とされない人文知識カテゴリーでの申請ということになります。
人文知識カテゴリーでの申請で問題となるのは学歴要件です。
この学歴要件は、単に日本語の修得を目的とした専門学校を卒業しただけでは難しいでしょう。やはり通訳翻訳学科などで翻訳、通訳、語学の指導に関連した科目を修得していることが必要です。
なおこの他にも、勤務先の会社の業務内容や通訳や翻訳を必要とする業務量そして賃金なども審査の対象です。
4.参考事例
専修学校(日中通訳翻訳学科)を卒業し、専門士の称号を付与された者から、本邦の漆器製品の製造を業務内容とする企業との契約に基づき、月額12万5千円の報酬を受けて、中国語翻訳・通訳、漆器の塗装補助業務に従事するとして申請があったが、通訳・翻訳業務についてはそれを主たる活動として行うのに十分な業務量があるとは認められないこと、漆器塗装は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするものと認められず「人文知識・国際業務」、「技術」のいずれにも当たらないこと、申請人と同時に採用され、同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額17万円であることが判明したため、日本人が従事する場合に受ける報酬と同額以上の報酬を受けているとはいえないことから不許可となったもの。
(解説)
この事例は、実務経験についての言及がないことから人文知識カテゴリーとして審査されたものと推測できます。
そのうえで、習得した知識と業務の関連性がないとした点が不許可理由の一つとされています。関連性は業務量で判断されていることは重要なポイントです。
5.まとめ
専修学校を卒業した専門士が、通訳・翻訳の仕事につこうするなら、まず、通訳翻訳学科で学んで通訳・翻訳に関する専門知識があること、そして業務の主たるものが通訳・翻訳であって、日本人と同等以上の給与がもらえる企業に勤める必要があります。
ご参考になれば幸いです。
新潟市中央区女池南2-2-10-2C
佐々木行政書士事務所 佐々木啓

専門学校を卒業し通訳として働くためにクリアしたい要件