専門学校生の技人国変更|不許可とされた事例:ガイドラインから(続編)

今回は、専門学校で履修した専攻科目との関連性 “以外” の理由で不許可とされた事例を紹介し、解説します。

(引用資料)留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン
http://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00091.html

ガイドラインでは10件の不許可事例(専攻科目と従事する業務内容の関連性”以外”の判断)があげられている。これらを不許可判断の理由ごとに整理した。

目次

日本人と同等報酬ではない

同種の業務に従事する日本人の報酬が月額20万円であるのに対し、月額17万円であった。

コメント:業務、学歴、経験などが同じであれば日本人と外国人で差をつけるのはNG。比較できる日本人従業員がいなければ、給与規定を提出する。業界平均や同規模同業他社など比較されることもある。

業務量が少ない

会計管理及び労務管理に従事するとの申請だったが、従業員数は12名であった。

コメント:業務量が少ない場合は、余った時間に現業業務に従事すると思われてもしょうがない。よくあるのが、外国人客が少ないホテルでの翻訳・通訳業務に従事するケース。生徒数が少ない英語塾の講師などもそう。対策は、今後業務量がふえていくことを合理的に説明すること。具体的な行動、施策、客観的数字などをあげて丁寧な説明を心掛ける。いずれにしても業務量が少ないのは大きなマイナス要因だ。

技術・人文知識・国際業務に該当しない業務

● 顧客管理に従事すると申請があったが、その具体的な内容は、電話での予約受付及び帳簿への記入であった。

● バイクの修理・改造に関する業務に従事すると申請があったが、その具体的な内容は、フレームの修理やパンクしたタイヤの付替えなどであった。

● 電子製品のチェックと修理に関する業務に従事すると申請があったが、その具体的な内容はパソコン等のデータ保存、バックアップの作成、ハードウェアの部品交換などであった。

● 接客販売に従事することが判明したもの

● 技能実習生が行う業務とほとんど同一であることが判明したもの

● 反復訓練によって従事可能な業務であることが判明したもの

コメント:これらは、そもそも従事する業務が「技術・人文知識・国際業務」が想定している高度な知識を必要としない業務である。なんとガイドラインの事例10例中7例がこの不許可理由だ。

本来の活動をおろそかにした資格外活動

出席率が70%と低く、その原因は学校を欠席し資格外活動をしていたことと判明したもの。

コメント:資格外活動は、本来の活動を阻害しない範囲で認められる。留学生が学校を欠席して行うのは論外。悪くすると、退去強制事由だと判断されることもある。

信憑性がない

将来採用予定の外国人従業員への対応として、通訳業務、技術指導業務に従事すると申請があったが、その採用予定がなんら具体化していない。

コメント:申請の内容はなんとか理解できる。しかし、肝心の外国人従業員が採用できなかったらどうするのか、かりに採用できたとしても予定した人数にぜんぜん達しなかったらどうなるのか、という疑問がでてくる。採用面接はどのように行っているのか、内定者は何名かなど証拠をあげて説明する必要があった。審査官は、申請内容に信憑性がないと判断したのだろう。社会的常識からみて不自然な説明とならないように気をつけたい。

受入れ機関の姿勢を問題視

研修の一環として、1年間は、レストランでの配膳業務、客室清掃業務にも従事するとして申請があったが、当該ホテルにおいて過去に同様の理由で採用された外国人が当初の予定を大幅に超えて資格該当性がない業務に従事していることが判明したもの。

コメント:申請の許可・不許可を心配するよりも、まず会社が不法就労助長罪に問われるかどうかを心配しなければならないケースだ。すでに働いている外国人も資格取消の対象になる。

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