離婚後や退職後のみなし再入国には気をつけてください

「日本人(永住者)の配偶者等」の方が離婚後、「技人国」など就労資格を持つ方が退職後、さらに「留学」生が学校をやめた後、本国に何度も行き来することはできるなら控えたほうが無難です。
何度も繰り返しているとその後の在留資格の変更や期間更新が不許可となるリスクが高まるからです。

資格該当性がなくなったら速やかに出国すべし、というのが入管の見解

資格該当性とは、在留資格ごとに決められた活動をしているか、ということです。

たとえば、日本人の配偶者等でしたら、日本人の配偶者と夫婦としての実体をともなった生活をしているか、です。ひらたくいえば一般市民の目からみて夫婦だといえるような生活を送っているか、ということです。とても夫婦とは見えないのであれば、資格該当性なし、です。

技人国でしたら会社に勤めているかどうかです。退職していれば資格該当性なし、です。

入管の基本スタンスは資格該当性がなくなって、かつ、ほかの在留資格に変更する予定もないのであれば、ただちに出国してください、これに尽きます。

在留資格の取消しは法律で3か月あるいは6か月と定められています。在留期限まで何年あっても取消されるのはうえに述べた理由からです。

資格該当性がなくなっても日本に居続けることは、在留の相当性判断でマイナス評価になります。

次の審査時には許可を与えない方向での材料になります。

ですので、在留資格で認められた活動はしていないけど、まだ在留期限があるから大丈夫、なんてことはありません。あらたに別の活動をしているのならすぐに在留資格を変更してください。とくだんの予定がないのであれば、できるだけすみやかに帰国(出国)したほうが無難です。

入管が悪質と考えるケース

資格該当性がない期間に本国に帰り、日本に再入国するのは要注意です。1回くらいなら大目に見てもらえるかもしれませんが、2回、3回となると確実にマイナスポイントになります。

出国により在留資格・在留期間は消滅します。ただ、この原則をしゃくし定規にすすめると行政にとっても外国人にとってもわずらわしいだけです。そこで、一時出国した後再度入国し従前と同一の法的地位をもって在留しようとする場合に与えるものものとして再入国許可やみなし再入国というしくみが作られました。

資格該当性がないにも関わらず資格該当性があるかのごとく再入国許可あるいはみなし再入国許可で上陸することはいわば虚偽にあたり悪質だと考えるのです。

具体例を挙げましょう。

日本人の配偶者で期間更新の許可を3年もらったとしましょう。そして1年後に離婚した。離婚後6か月間は資格の取消対象にはならない。これは法律に書いてあります。でも、離婚後は資格該当性がないのです。離婚後6か月以内であってもみなし再入国で入出国を繰り返すのは入管にしてみれば、好ましくない対象と映るのです。

私は離婚後6か月過ぎた時点からが好ましくない在留、つまり在留資格が取り消されうる状態になってからの再入国が問題となると理解していたのですが、そうではないようです。離婚したときからです。

これを敷衍していけば、3年を経過するギリギリ手前で再婚することは相当きびしい目で審査されることを覚悟しなければなりません。

このマイナスポイントはとても大きいのです。

なお、永住許可の審査においてもマイナス評価を受けると考えられますのでご注意ねがいます。

まとめ

法律上は資格該当性がなくなっても、在留資格が取り消されないのであれば、在留期限いっぱいまで日本にいることは、完全に合法です(*公定力)。

しかし、相当性の判断、入管が考える在留状況の良し悪しの判断はことなります。在留状況が不良と判断されるとのちの申請・・・・・にマイナスの影響がでます。

資格該当性がなくなったら、速やかに対策をとってください。

*公定力・・・新版入管法の実務(山脇、新日本法規、105頁)