【この記事のポイント】
- いきなり不許可・不交付の通知をだすのは不意打ちだと思いませんか?
- 残念な結果がでる前に、入管の考え方・見方を知ることができたら…。
- 「申請人に不利益な処分をするときは、できるだけ反証の機会を与えること」(審査要領)
- 入管の考え方・見方を事前に探ることは可能です
可能な限り申請人に反証の機会を与えること
入管の内部規定である入国・在留審査要領(以下、審査要領といいます)には、「申請人に不利益な事実については、可能な限り申請人に反証の機会を与えることとする。」とあります。
ことに再申請は、1度不許可・不交付とされた事案ですので、反証の機会はさらに強く要請されるものです。
反証とは
入管が行おうとしている、申請人にとって不利益な事実認定に対し、それを打ち消す証拠を提出することをいいます。
具体的にどうやって反証の機会を要請するのか?
これは、再申請にあたり、実際に提出した要望書の一部です。
要 望 書
平成 年 月 日
- 東京入国管理局長 殿
- 東京入国管理局新潟出張所長 殿
- 〒950-0948
- 新潟市中央区女池南2-2-10-2C
- 新潟パートナーズ行政書士事務所
- 電 話025-250-1786
- FAX025-250-1823
- 申請取次行政書士 佐々木啓
(中略)
第3 反証の機会の付与について
本件申請は、告示外の特定活動許可を求めるものであります。従って、許可の要件については法務大臣に広範な裁量があるものと承知しています。このことは反面、申請人にとっては主張立証の対象が明らかではないことも意味します。したがって、万が一、貴局において不利益な事実を認定するときは、いきなり不許可処分を行うのではなく、処分前に反証の機会(具体的には、「在留資格該当性」または「狭義の相当性」を疑がわせる事実または証拠等を指摘したうえ、その事実認定及び評価に対する反論を追加書類等で行う機会)を与えていただくことを強く希望します。
この点、貴局が審査基準とする入国・在留審査要領においても、「申請人に不利益な事実については、可能な限り申請人に反証の機会を与えることとする。また、申請人側に立証責任があることは、十分な調査を尽くさず、あるいは反証の機会を与えない理由とはならないことに留意する。」とされています(入国・在留審査要領 第1編 基本的事項 第1章 入国・在留審査の心構え 第2節 入国・在留審査の留意点 第2 的確な事実認定を行う。また平成16年10月1日付法務省入国管理局長通達、法務省管在第5964号に同旨)。従いまして、仮に、貴局が申請人に不利益な事実等を認定しようとするときには、申請人、その在日親族及び当職に対し、十分な反証の機会を与えることを強く要望します。
以上
※ 太字部分を引用して、理由書等を作成すれば趣旨は十分伝わります。
上記要望書のメリットは
この要望書を提出したことで、許可・不許可の通知の前に、資料提出通知書が送られてきました。
内容は、申請人の事情についてさらに詳細な説明を求めるもので、これにより、申請人としては攻撃防御のポイントを明確にすることができました。
言い換えれば、いきなり不許可、不交付といった通知を受ける「前に」対策が立てられるということです。
これは、不許可・不交付となった「後に」対策を立てるのに比べて遥かに効率的で、かつ、時間短縮にもなります。
まとめ
要望書を提出したからといって、入管が必ず応えてくれる保証はありません。
しかし、有効に活用すれば、かなりの効果があげられるのではないかと考えます。
お役に立てば、幸いです。