申請書に「交通違反等による処分も含む」が追加された意味

green succulent plant
Photo by Scott Webb on Pexels.com

どんな申請であっても、申請書の1枚目、「申請人等作成用1」は共通の様式です。
この15番目の項目に「犯罪を理由とする処分を受けたことの有無」があります。そして、そのすぐ後ろに「※交通違反等による処分も含む」が「いつの間にか」追加されているではありませんか!
気付かなかったのは私だけかもしれませんが…。

行政罰は書かなくてもよい

まずは、申請書(申請人等作成用1)の内、項番15を見てください。
http://www.moj.go.jp/isa/content/930004092.pdf

これまで、交通違反であっても略式起訴されて罰金以上ならば「有」にマルしてその具体的内容を書く、と解釈していましたが、これからは交通違反は反則金も含めすべて書かなければならなくなったのか?。スッキリさせるため入管に問合せました。

入管の回答:「罰金刑以上を書くように。行政罰は書かなくてもよい。」ということでした。つまり、以前と同じです。

「※交通違反等による処分も含む」が追加された理由は?

ではなぜ、わざわざ「※交通違反等による処分も含む」を追加したのでしょうか。

推測ですが、交通違反で略式命令を受けて罰金刑をうけたとても、本人は交通違反だから犯罪ではないと解釈して記載しないケースは、不利益な事実を隠して許可を得たことになり、やっかいな問題(在留資格の取消し)がおきるのでこれを未然に防ぐ意味なのかなと。。。。要するに、交通違反の罰金刑を書かないと虚偽申請にあたりますよ、と警告しているのか。。。

在留資格の取消件数を調べてみると、2020年は1210件、2021年は800件。在留資格別でみると、技能実習、留学、技術・人文知識・国際業務の順に多く、取消の理由は「在留資格で定められている活動を行っていない」が全体の9割を占めます。これからすると、不正の手段(不利益な事実を隠して)で在留の許可を受けたことが発覚して取消されたケースは非常にまれのようです。

とすると、「※交通違反等による処分も含む」は、記載すべき範囲を拡大したのではなく注意的な記載ということと解釈してよいのかもしれませんが。。。

永住申請を視野にいれて、ありのままに書きましょう!

在留資格の更新許可申請では、交通違反の罰金刑を書かなかったとしても、それほど問題とされることはないかもしれません(ただ、現実問題としてそこまでの調査する時間的余裕がなく発覚しないだけ)。

永住許可申請では日本におけるすべての活動を審査しますので、たとえ6点未満の行政罰であっても、あるいは不起訴処分(起訴猶予の場合は前歴が残る)であっても、過去の事実は明らかになってマイナスの影響があります。

つまり、過去の更新許可申請において書くべきことを書かなかったということについて、在留資格の取消しとはならないまでも不正、虚偽の申請をしたという評価を受けることは十分に予想されます。つまり、永住許可は非常に難しくなる可能性があるのです。

不利益な事実は誰しも書きたくないものですが、申請書に何を書くか、何を書かないかは、日本で生活する以上あとあとまで影響することを念頭に、正直にありのままを書くことを強くお勧めします。

蛇足ですが、交通違反以外の刑事事件での不起訴処分は書く?書かない?
答えは、書かない(書かなくてもよい)です。これも理由は同じで、罰金刑以上は書く(書かなくてならない)からです。

※ 2024年2月26日 東京入国管理局審査管理部門に確認
 本記事の内容で間違いないことを確認しました。(ひょっとして運用に変化があるかもと思ったからです。)
 ただ、入管としては軽微な交通違反(青キップで反則金を支払ったもの)などでも、全て書くのが望ましいとしています。理由は、申請人が自身で記載するしないの判断をするのはリスクがある。つまり、記載すべきことを記載しないのは審査上マイナスとなるからとりあえず青キップなどの軽微な交通違反でも全て申し出たほうがよいとの見解です。
 私個人の意見ですが、不利益な事実を隠して在留資格の許可を得た場合後日その在留資格が取り消されるかもしれないという重大な結果があるわけで、何を書くべきかあるいは書かないでいいのかについては基準を明確にすべきではないかと考えます。「※交通違反等よる処分(刑事罰にあたらない場合を含む)を含む」とか。ただ、何年も車を運転する人なら青キップをいつどこで切られたかなんで覚えてないでしょ。

お読みいただきありがとうございました。