短期ビザの延長、審査要領からみる正しい理解

短期滞在ビザの延長には人道上の真にやむをえない事情が必要とされているようですが、これは半分間違いです。

人道上の真にやむをえない事情が必要なのは延長すると入国日から通算して180日を超える場合だけです。

審査要領を表にまとめたのが次の下表です。

日本に入国した経緯とくに審査されるポイント
一定の国の出身者 又は
ビザを申請して90日の短期滞在で上陸
「短期滞在」に該当する活動を行うこと
ビザなしで短期滞在で上陸入国後の事情変更等により引き続き「短期滞在」に係る活動を行う必要があること
ビザを申請して30日又は15日の短期滞在で上陸やむを得ない特別の事情があると認められること

査証と上陸許可の証印のサンプルは次のリンクにあります

リンク先:東北大学国際サポートセンター(ISC)

ビザを申請して90日の短期滞在で上陸

Q


 日本大使館(領事館)にビザ(査証)を申請し「短期滞在」90日で上陸許可を受けた場合はどうですか
A

次の条件を満たすことでビザを延長できます。

⑴ 「短期滞在」に該当する活動を行うこと

⑵ 滞在費の支払いに問題がないこと

⑶ 帰国手段が確保されていること

※国籍国が査証免除国6か月のアイルランド、オーストリア、スイス、ドイツ、メキシコ、リヒテンシュタイン、英国の方であれば査証がなくても⑴~⑶を満たせば延長可能です。

簡単ですね。このケースの審査はあまり厳しくないと思いますが、丁寧に資料を準備しましょう。

ビザなしで短期滞在で上陸

Q
査証免除国(3か月)なので、日本大使館(領事館)にビザ(査証)を申請せずに日本に上陸した場合はどうですか
A

ビザを取得しないで日本に上陸した方は、原則として延長(更新)は認められません


ただし、次の場合には延長(更新)が認められます。

⑴ 入国後の事情変更等により引き続き「短期滞在」に係る活動を行う必要があること
  

⑵ 滞在費の支払いに問題がないこと

⑶ 帰国手段が確保されていること

条件が少し厳しくなりました。事情変更等と在留の必要性を説明し、かつ、立証しなけばならないのがポイントです。

このケースでは、原則として延長(更新)が認められていませんのでしっかりと考えて資料を作ることを心掛けてください。

ビザを申請して30日又は15日の短期滞在で上陸

Q
日本大使館(領事館)にビザ(査証)を申請し、「短期滞在」30日または15日の上陸許可を受けた場合はどうですか
A

この場合も、原則として延長(更新)は認められません

ただし、次の場合には延長(更新)が認められます。

⑴ やむを得ない特別の事情があると認められること
  

⑵ 滞在費の支払いに問題がないこと

⑶ 帰国手段が確保されていること

条件が一層厳しくなりました。
原則認められないのは、前のケースと同じですが、「やむを得ない特別の事情」が必要とされているので、かなり厳しい審査を覚悟しなければなりません。

人道上の真にやむをえない事情が必要な場合

延長すると、入国日から通算して180日を超える場合は、「人道上の真にやむを得ない事情 又はこれに相当する特別の事情」があることについて、より慎重に審査することになります。

入管のHPには次の記述があります。
「※ 在留資格「短期滞在」に係る在留期間の更新は、原則として、人道上の真にやむをえない事情又はこれに相当する特別な事情がある場合に認められるものであり、例えば、病気治療をする必要がある場合などがこれに当たります。」

しかし、入国在留審査要領ではこのように書かれています。
「人道上の真にやむをえない事情」というのは更新すると入国から180日を超える場合の要件であり、「特別な事情」は短期滞在が30日又は15日の場合の要件です。(※人道上の真にやむをえない事情>特別な事情)

入管のHPの記述からは、入管が基本的に短期滞在の更新は許可しないという姿勢がうかがわれますが、審査要領の方が信頼性が高いことから、査証を取得し90日の短期滞在で在留する方の更新は十分に可能ですしハードルは高くないと考えられます。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ご不明な点がありましたら、遠慮なくお問い合わせください。


【参考文献】
入国在留審査要領 第12編 短期滞在
入管法と外国人労務管理・監査の実務 山脇康嗣 新日本法規
ビザ免除国・地域(短期滞在) 外務省HP

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