生活保護とビザの更新ができる場合/できない場合

ここでは、「公共の負担」、つまり生活保護を受給していることが期間更新などの在留審査にどのような影響をあたえるのか、という点について入管の考え方を紹介します。

1.ビザの更新ができる場合

いまもっているビザが更新したものであるとき、つまり在留期間更新許可等を既に1回以上受けている人については、生活保護の支給決定を受けているとしても不許可とはしない取扱いです。 

※ 在留期間更新許可等と「等」があることから、変更許可申請も含むものと思われます。

2.ビザの更新ができない場合

入国してはじめての在留期間更新許可等の申請の審査で,生活保護の支給決定を 受けていることが分かったときの取扱いは次の通り。

① 在留資格取消手続を開始する場合

a 在留資格認定証明書交付申請において、日本での滞在費の支払いに関し虚偽または不実の記載のある文書が提出が提出されていたことが判明し、
b 上陸申請時において、当該外国人が公共の負担となるおそれがあったと認められる場合

在留資格取消手続は適正な手続きを踏んで行われるため時間がかかります。

そこで、残っているの在留期間がわずかで在留資格取消手続をとることが時間的に困難な場合は、更新ないし変更を認める相当の理由がないものとして、在留期間更新許可申請等を不許可とします。

 (注)在留期間更新許可等の申請時にすでに金銭的に自立していて,生活保護が支給されていない場合は、特別の事情があるものとして「特定活動」の在留資格への 申請内容変更申出に対する許可を検討する。

言い換えると、すでにした在留期間更新許可申請にかえて、特定活動(出国準備のため)という在留資格に変更してもらう、ということです。これを申請内容変更申出といいます。

虚偽または不実の記載のある文書を提出して、在留資格認定証明書を不正に取得したのですから、救済の余地はない、ということです。

② 不許可とする場合

入国してすぐに(入国後6月以内)生活保護の支給決定を受けている場合で、許可すべき特別の事情が認められないときは不許可とする。

この場合、生活保護支給決定後の在留状況、同決定までの経費支弁状況、同決定に至った理由等も考慮して判断する。生活保護の支給決定を受けていることを理由に不許可とはしない。 

(注)例えば、3年以上の在留期間を決定されて在留する人は、特別の事情があるものとして,生活保護の受給決定の事実を理由に不許可とはしない。

少しわかりずらいですね。要するに、入国後6か月以内に生活保護の支給決定を受けている人は、原則として更新を不許可とします。

ただし、例外として上陸時に3年の在留期間が許可されるような人は、入管がいったんはしっかりした人と判断した人なので直ちに不許可とするのではなく、生活保護を受けるようになった事情も考慮する、ということです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


【参考資料】
入国・在留審査要領 第12編
生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について(昭和二九年五月八日)(各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)