定時制高校だと「留学」に変更できない?定時制高校にもいろいろあるのに

ここでは、二つの論点があります。①上陸許可基準で「専ら夜間通学して(中略)教育を受ける場合を除く」の解釈、②昼間部のみを選択できる定時制高校は実質普通高校と同じではないか、です。

専ら夜間通学して…。

留学の上陸許可基準1号ハを引用します。

ハ 申請人が本邦の高等学校(定時制を除き、中等教育学校の後期課程を含む。以下この項において同じ。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。以下この項において同じ。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。以下この項において同じ。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校の高等課程若しくは一般課程又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関に入学して教育を受けること(専ら夜間通学して又は通信により教育を受ける場合を除く。)。

定時制の高校は除くのはハッキリしています。しかし、最後の「専ら夜間に通学して(中略)教育を受ける場合を除く」を、定時制は除くとの関係でどう解釈すべきなのでしょうか。
A説 3行前の、「若しくは特別支援学校の小学部、」以下に挙げられている教育機関にのみかかるとする解釈。
B説 ハから始まる文全体に係るとする解釈。

法務省の解釈はA説です。たしかに、最後のカッコ書きには「以下、この項について同じ」とは書かれていません。

しかし、定時制を除くとした趣旨は、専ら夜間に通学するイメージがある定時制を除くとしたにすぎず、かりに昼の間通学する定時制があるのでしたら、それまでも排除する趣旨ではないと解釈できないでしょうか。

昼間部のみを選択できる定時制高校も

定時制高校の中には、午前部、午後部、夜間部と3部制をとっている高校があります。この高校では午前部に通うものは午後部しか選べません。つまり、午後部、夜間部という組み合わせで通学できない仕組みです。ですので、午前部に通う生徒は、午前部のみか、午前部と午後部を合わせて通学することになります。午前部と午後部の両方を選択すれば3年で卒業できます。
どうでしょう。これなら普通高校と何ら変わりません。
実際の教育カリキュラムを審査せずに、単に「定時制は除く」とも文言があるとの理由で不可とするのは硬直にすぎます。

さいごに

この記事のもととなった申請は、在留資格変更許可申請でした。しかし、この申請は可能性がないとして見送らざるを得ませんでした。
なお、家族滞在の生徒は高校卒業後に定住者(あるいは特定活動)へ変更ができます。この場合、高校は定時制、通信制も含むとされています。新規入国者であればともかく、変更許可申請においては「定時制は除く」の要件は柔軟に解すべきと考えます。


(参考)高等学校等卒業後に日本での就労を考えている外国籍を有する方へ
出典:出入国在留管理庁ホームページ
http://www.moj.go.jp/isa/content/930003573.pdf
http://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00122.html