行政書士は、日本行政書士会連合会主催の申請取次実務研修会を3年おきに受講し効果測定をパスしないと入管から届出済証の交付を受けられず業務を行えません。
いままでは、研修会と効果測定は会場で受けていました。が、今回はオンライン研修になり、新たに課題レポートが付け加えられました。
【課題レポートの設問】
新規届出の際に単位会へ提出する「誓約書」に記載された、「申請人または入管法上の代理人から直接依頼を受けることなく、第三者を介して依頼を受けた申請を取り次がないこと」という誓約事項に違背する場合、どのような不正が生じる恐れがあるか。
【提出した課題レポート】
「誓約」に違背する場合に生じうる不正の恐れについて
1.第三者がいわゆるブローカーである場合、営利目的在留資格不正取得助長罪(法74条の6、法定刑は3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金)が成立しうる。この他には、行政書士の責務(行政書士法10条)、品位を損なう事業への関与(行政書士倫理5条)、違法行為の助長等の禁止(行政書士倫理9条)、不正の疑いがある事件受任の拒否(行政書士倫理14条)などの不正が生じうる恐れがある。
2.第三者を介して報酬が支払われる場合、依頼者との契約に基づく報酬が支払われないなどの紛争や不正が生じうる恐れがある。
3.事件の処理方法について、第三者、依頼者および受任者との齟齬が生じやすくなり、結果として依頼者の意思に反した申請となる恐れや、あるいは申請内容そのものに虚偽が入り込む余地が大きくなるなどの不正が生じうる恐れがある。
4.依頼者の秘密を守る義務(行政書士法12条、行政書士倫理3条)が適切に履行されない不正が生じうる恐れがある。
5.使用者行政書士が依頼された業務をその被使用者その他の従業者である行政書士に行わせる場合、一定の要件を満たせば使用者行政書士は「第三者」と評価されないとされる。一定の要件とは、当該被使用者行政書士にあっては、届出済証の所持、業務が使用者行政書士の指揮命令のもと行われること、申請内容の十分に理解していること、他方、外国人本人または入管法上の代理人本人にあっては、当該使用者行政書士の指揮命令の下で被使用者行政書士が申請を取り次ぐことについて、承諾したうえで依頼していることである。これら要件を満たさない場合は、使用者行政書士は「第三者」と評価され、前述の1~4の不正が生じうる恐れがある。
そもそも、知り合いでもないのに、またその行政書士の力量も知らないのに、「お客を紹介しましょう」などという甘い話があるわけがないのです。
気を付けないと!