ビザの不許可の理由や不交付の理由をうまく聞き出すコツ

入管から不許可の通知がきた。なぜ? 理由が思い当たらない。こんなときあれこれ思い悩むよりも、まず入管に理由を聞いてください。もし、行政書士に頼んでいたのならその行政書士に入管に行ってもらえばすみます。そうでないなら申請した人またはその法定代理人が聞きに行ってください。今回は、こんなときあなたが審査官から理由を上手に引き出す方法をお教えします。理由を聞くことは重要な情報が得られるまたとない機会ですので、怖がらずにぜひトライしてください。

1.まずは審査官の話をじっくり聞く

いきなり対決姿勢で臨んでもいい結果はでません。上手に聞き役にまわってできるだけ話を引き出すようにするのがコツです。

1.1 必ずメモをとる

必ずメモするようにします。

ありがちなのが、急いでメモをとって、あとで読み返してたらよく分からない!なんてことですよね。あせらず、ゆっくりとメモしてください。

説明が分かりにくければ理解できるまでなんどでも聞き返してもかまいません。

入管の審査要領には、不交付や不許可の理由を説明しなければならないとハッキリと書いてあります。安心して聞き返してください。

(審査要領2020年開示版:第1編 P5から抜粋)

1.2 具体的な話を引き出す

説明が抽象的な場合があります。たとえば「全体として信憑性に欠ける」とか「総合的に判断して」としか言ってくれないこともあるかもしれません。

そんなときは、「具体的には?」とか「どの点が信憑性に欠けるのか」、「総合的といってもその中で特に問題視されたことはなにか」など具体的に話を引き出すことを心がけてください。

1.3 感情的にならない

不許可・不交付の理由を聞いて納得できる人はまずいません。説明はなんとか理解できたとしても、心情的に納得ができないのが普通です。理解と納得は別ものです。

ただ、注意していただきたいのは、その場で反論したり、相手を言い負かして何の意味もないということです。感情的にならずにぐっとこらえて入管の考えや主張を正確に把握することが重要です。

たしかに、入管が事実を誤認している場合もあるでしょう。しかし、仮にその場で抗議して相手が誤認を認めたとしても不許可の決定がくつがえるわけではありません。

決定をくつがえすためには、再び申請するしかありません。そのための情報収集だとわりきりましょう。

2.審査官の話を理解したあと質問する

2.1 他に問題はないか聞く

不許可・不交付の理由となった事実や問題とされた事実をすべて教えてくれるとは限りません。理由を全て教える法的な義務はありません。あくまで審査要領に基づいて聞かれたら答えるというスタンスです。

ですので、審査官の説明する理由をひととおり聞いたあと、「ほかに問題とされた点はありますか」と必ず聞いてください。たいてい1つや2つほかの理由がでてくるものです。

再申請では、問題とされた事柄をすべて解決しておくことが重要です。

2.2 再申請での許可の可能性を聞く

問題点がクリアされたとして再申請で許可される可能性があるかないかについても聞いておくべきです。

審査官は通常答えてくれます。

どうすれば問題点をクリアできるかについては答えてくれませんが、再申請をする意味があるのかないのかを判断するために必要な質問ですので必ず聞くようにしてください。

クリアできる問題点の例

日本人の配偶者資格のケースで、交流が不足している、とされたのであれば交流を証明する資料を数多く提出すれば大丈夫です。

また、就労資格の場合で仕事の内容に問題があるとされたのであれば、仕事の内容を具体的に証拠に基づいて説明することで修正可能な場合もあります。

クリアするのが困難な問題点の例

在留状況が思わしくないとされた場合は一般に修正は困難と思われます。入管法やその他の法律違反がある場合などです。

違反するに至った状況を詳細に説明するとともに反省の弁を述べ、誓約書を提出などしてダメージを軽くする必要があります。

3.入管に行く前に準備すること

申請書など一件書類のコピー

手もとに提出した一件書類のコピーがあれば必ず持参してください。

不許可・不交付の理由を予想してみる

自分なりに不許可や不交付となった理由を予想しておくと相手の言っていることも分かりやすいですし、また、逆に質問されたときにもあわてることなく答えられます。

【居住資格の場合】・・・日本人配偶者等、定住者など

交流を示す資料が不足している、申請人が本人である確証がない(名前、生年月日、住所)、過去の申請と内容が異なる、など。

【就労資格の場合】・・・技術・人文知識、国際業務、技能など

学歴、仕事内容、実務経験、所属会社のいずれかが提出の資料からみて疑わしい点があるなど。

【全般】

在留中の活動状況、行状、在留の必要性・相当性に問題がある、など。

4.チャンスは一度だけ

理由を聞けるのは1度だけです。ですから、事前に聞きたいことを整理て聞き漏れのないように質問リストなどを準備して臨んでください。

5.まとめ

理由を正確に理解し、問題とされたことをすべてを解決したうえでないと再申請しても同じ結果になってしまいます。

再申請を準備するときの唯一の情報源です。

ですので不交付・不許可理由を聞くことはとても重要です。

ご成功をお祈りします。

新潟市中央区女池南2-2-10-2C 佐々木行政書士事務所