ビザの変更・更新時に入管が審査する8項目

新ガイドライン(2020年2月改正)を在留資格変更、期間更新の前におさえて申請に万全を期しましょう!
ビザの変更や更新許可の審査にあたって審査される8項目について書いています。重要度に応じて、具体例もあげてご紹介します。

1.行おうとする活動が入管法に定められているか(資格該当性、重要度★★★)

外国人には日本で行える活動ごとに在留資格が決められています。有する在留資格で認められている活動をしていれば「資格該当性」に問題はありません。

たとえば、在留資格「日本人の配偶者等」を有していて日本人と結婚している外国人配偶者は、社会通念上の夫婦共同生活を営んでいれば資格該当性は有りと判断されます。

しかし、離婚や死別、または正当な理由なく別居が長期にわたるなど夫婦共同生活の実体を失っていると「資格該当性」はありません。

すべての在留資格においてこの資格該当性の有無は、在留資格の変更や期間更新(ビザの延長)を許可する際に最も重要な要件です。資格該当性がないと判断されれば、即不許可とされます。

2.法務省令で定める上陸許可基準に適合しているか(上陸許可基準該当性、重要度★★☆)

上陸許可基準は、おもに就労を目的とした在留資格と、そのほかに留学、家族滞在、研修に求められる基準です。上陸許可基準は、1.の資格該当性とは異なり、原則として適合していることが求められます。つまり、適合していないと即不許可、とまではなりません。ただ、適合していることは当然求められます。

たとえば、就労ビザでは「日本人と同等以上の給与が支払われていること」を基準に判断します。明らかに低い金額しか支払われていない場合には、外国人従業員の在留資格を更新や変更する際に不利になります。

3.その他の代表的な考慮要素(狭義の相当性、重要度★☆☆)

狭義の相当性は、在留資格の変更や期間更新を許可することに相当の理由があるか否かの判断にあたって考慮される要素です。

新ガイドラインには次の6項目が挙げられています。

(1)現に有する在留資格に応じた活動を行っていること

例えば、失踪した技能実習生や、除籍・退学後も在留を継続している留学生は、現に有する在留資格に応じた活動を行わないで在留している状態です。定められた活動を行っていなことに正当な理由がある場合を除き、不許可方向の要素として評価されます。

また、日本人の配偶者などは6か月、技術・人文知識・国際業務などは3か月正当な理由なく在留資格に応じた活動をしていないと在留資格が取消されることがあります。

在留資格に応じた活動をしていないことに正当な理由があるかどうか、これがポイントです。

(2)素行が不良でないこと

例えば、退去強制事由にはあたらないとしても、それに準ずるような事件で刑事処分(交通違反などの行政罰でも度重なれば問題視されます)を受けた行為、また不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上見過ごすことのできない行為を行った場合は、素行が不良であると判断され、不許可方向の要素として評価されます。

懲役、禁固はもちろん罰金刑(スピード違反での略式命令など)に処せられた場合、入管ではその事実を把握していますので、入管申請にあたってはその事実をくわしく申告して、反省するとともに再発防止に向けた取り組みなどを説明するべきでしょう。

(3)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

日常生活で公共の負担となっていない、かつ、有する資産又は技能からして今後安定した生活が見込まれるかどうかが審査されます。申請人以外の世帯を同じくする人(夫や妻など)が満たしていれば問題ありません。世帯単位で判断される項目です。

しかし、仮にこの要件を満たさない場合(生活保護を受けているなど)であっても、さまざまな事情を考慮にいれて判断することとされています。

(4)雇用・労働条件が適正であること

我が国の労働法規に違反していないことが求められます。

(5)納税義務を履行していること

一定の収入があって納税の義務がある人が納税していないことは不許可方向の要素として評価されます。

納税義務を怠ったとして刑を受けている場合はもちろん、未納が高額であったり長期間である場合には不許可方向の事情になります。

また、永住許可申請の場面では納税を適切におこなっているかが、納期に遅れたことなども含めてきわめて厳格に審査されます。将来、永住を希望する人はとくに注意が必要です

(6)入管法に定める届出等の義務を履行していること

外国人に課せられている届出義務は以下のとおりです。

  ・新規上陸後の住居地届

  ・在留資格変更等に伴う住居地届

  ・住居地の変更届

  ・住居地以外の記載事項の変更届(在留カードの記載事項に変更がある場合)

  ・所属機関等に関する届出(勤務先等の変更、離婚、死別など)

届出は14日以内に行ってください。経験上、期限を過ぎたとしても、入管から指摘を受ける前に届出をしていればそれほど問題視されないようです。

とはいっても、住所変更の届出(市町村に在留カードを持参して行う)や会社や学校を変更した際の届出、離婚・死別の際の届出がもれているケースが多く見受けられます。忘れずに届出を行うようにしてください。

4.さいごに

これらの8項目をご自身に照らし合わせて、申請前にチェックしてみてください。なにか、問題点が見つかった場合は、なぜそうなったかの理由を書面にして提出するなどして、申請に万全を期してください。

最後までお読みいただきありがとうございました。