在留期間の更新を何度かしているけど3年が認められない。どこに問題があるのでしょうか。今回は、その理由と対処法についてご説明します。審査要領から読み解きます。
【この記事のポイント】
- 在留期間が3年に伸びない2つの理由
- その対処法
在留期間が伸びない2つの理由
「ハッキリした理由」と、判断する人によって異なる「あいまいな理由」とに大別できます。
ハッキリした理由
- 納税を始めとする各種の公的義務を履行していない(その不履行の態様などもみられます。)
- 刑事処分を受けた(その犯罪及び刑事処分の内容などがみられます。)
- 申請人が入管法上の届出義務(住居地の届出、住居地変更の届出、所属機関の変更の届出等)を履行していない
- 各種の公的義務を履行していない(今後は健康保険や年金の加入や納付状況も詳しく審査されるようになるかもしれません。日経電子版2018.11.9付(リンク先にとびます)では、入国後に社会保険料を滞納している外国人には、来年4月以降在留を認めないとする政府の方針を伝えています。当面対象となるのは特定技能。)
- 学齢期(義務教育の期間)を有する親にあっては、子が小学校又は中学校(インターナショナルスクールも含む)に通学していない場合
- 主たる生計維持者が納税義務を履行していない(外国人の配偶者に滞納がなくても、扶養者の日本人夫に滞納があるなど)
あいまいな理由
就労系の在留資格 (技術・人文知識・国際業務、経営・管理、技能等)
- 職務上の地位、活動実績、所属機関の活動実績等から、在留状況を1年に1度確認する必要があるもの
身分系の在留資格 (日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者等)
- 家族構成、婚姻期間等婚姻を取りまく諸状況からみて、婚姻及び配偶者の身分に基づく生活の継続性を1年に1度確認する必要があるもの
- 在留状況等からみて、1年に1度その状況を確認する必要があるもの
適切な対策
ハッキリした理由の場合の対策
ハッキリした理由に心当たりがあれば簡単です。
税金や社会保険料の滞納分を納付したり、子供を学校に通わせたり、これから改善できることはすぐに実行してください。
刑事処分や入管法上の届出義務をおこなっていなかった場合には、なぜそうなったか、経緯を説明すると同時に弁明又は謝罪を文書にして提出します。
あいまいな理由の場合の対策
就労系、身分系の在留資格の理由をみると、「1年に1度確認する必要があるもの」という点が共通しています。
「1年に1度確認する必要があるもの」といえば、在留の安定性・継続性に疑問符がつくケースです。在留状況が安定していれば、1年に1度確認する必要はありません。
さて、ではどうやって審査官に在留の安定性・継続性をアピールするかですが、これも理由をよく見ると検討する項目が書かれています。
就労系の在留資格
就労系の在留資格は、「職務上の地位、活動実績、所属機関の活動実績等から」とありますので、とくにこれらの点を重点的に在留の安定性をアピールします。
昇進や会社への貢献度、責任の重い地位に就いたこと、また会社の業績が順調に伸びていることなどです。
身分系の在留資格
身分系の在留資格は、「家族構成、婚姻期間等婚姻を取りまく諸状況からみて」あるいは「在留状況等からみて」「継続性」や「状況」を確認とありますから、経済状況にくわえて家族、同居人や周囲の人(ご近所、職場など)との関係を中心に、生活の安定性や日本社会への定着の度合いをアピールすればよいことが分かります。
実際にあった例ですが、頻繁にしかも長期間本国に帰っているケースでは日本人の夫から理由書を書いてもらい3年になったことがあります。
アピールの方法は、理由書を用意うえで証拠となる書類、スナップ写真などを添えて提出するのもいいかもしれません。
まとめ
3年の在留期限のためには、適法性、安定性、継続性などがキーワードとなります。
在留期間の更新許可申請は、もし不許可となると出国準備のための特定活動に変更を余儀なくされることがあるものです。
ことに今後は、税金や社会保険料の滞納に注意が必要です。
簡単に考えず、くれぐれも慎重に行ってください。
ご参考になれば幸いです。