日本にいる外国人は、入管法上働いてもいい人と働いてはいけない人が定められています。
これを特に意識せず、働いてはいけない人を雇ってしまいその後気付いた場合、雇い主はどうしたらいいのでしょう。雇い主がしなければならないことをまとめてみました。ご参考になれば幸いです。
1.不法就労とは
不法就労は大きく分けて2つに分けられます。
1.在留資格がない人が働いて収入を得ること(いわゆるオーバーステイの人が働くことなど)
2.在留資格で認められた範囲外の仕事をして収入を得ること(たとえば、留学生が無許可で働くことや、技術・人文知識・国際業務の在留資格を持つ人が単純労働をすることなど)
ただし、2の場合は、資格外活動許可を得ていれば問題ありませんが、留学生は卒業もしくは退学、除籍の後は、資格外活動許可を得ていても不法就労となることに注意が必要です。
2.仕事をさせない
資格外活動許可を在留カードで確認して留学生をアルバイトとして雇ったとしても、その後、卒業したり、退学したり、除籍になったりするとアルバイトは続けられないことは前述の通りです。
ですので、留学生については常に卒業、退学、除籍の事実がないかを確認する必要があるのが少々やっかいです。
不法就労であることが分かった後も漫然と仕事をさせていると、雇い主も罰せられる可能性がありますので注意してください。
不法就労助長罪に問われる可能性があります(3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金)。
ですので、不法就労であると分かったらただちに仕事をさせないこと、これが大切です。
なお、雇う前に在留カードの原本を確認することを怠っていれば、不法就労にあたるとは知らなかったという言い訳は通用しませんので注意してください。
3.働いた分の賃金は支払う
不法就労だからといっても働いた分の賃金は払わなければなりません。
不法就労は入管法の問題であって、賃金の支払いは労働基準法の問題であり、分けて考えなければならないからです。
4.解雇するときに問題になりうること
解雇権の濫用との関係
不法就労を理由として解雇するのは、解雇権の濫用(らんよう)にあたるから無効だとの考えもあります。
しかし、解雇できないとすると雇い主が不法就労助長罪で罰せられるという不都合な結果になってしまいます。
明らかな条文や判例はないようですが、解雇は有効であるとの見解が多数のようです。
解雇予告義務との関係
解雇予告義務が労働基準法にあります。(労基20Ⅰ)
原則として、解雇するには少なくても30日前に通知するか、もしくは、30日分以上の給与を支払う必要があるというものです。
これは不法就労者を解雇する場合でもあてはまるのでしょうか。
不法に就労したのは外国人本人の責任でしょうから、この原則の適用はなく、すぐに解雇できると考えられます。(労基20Ⅰ但書)
※ 最終的には労基署の判断によります(解雇予告除外認定)。
ハローワークへの届出
解雇したならば、ハローワークに必ず届けます(外国人雇用状況届出制度)。入管には必ずしも届ける必要はありません。
5.まとめ
不法就労は、外国人本人にはもちろん雇い主にも重大な影響があります。
お互いに不幸なことにならないために、雇うまえにその外国人が働いて問題ないのかどうか、しっかりと確認する必要があります。
最後までお読みいただきありがとうございました。