技術・人文知識・国際業務ビザで実務研修が認められるための要件の実際

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について、と題した文書が入管のホームページにあります。これに基づき申請したところ許可・不許可(再申請中)となったケースについて検討します。

まず、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について、の中身をまとめます。

技人国にあたらない活動(実務研修)であっても一定の場合には認める

実務研修は技人国に該当しない活動なので原則として認められないが、例外として、一定の要件を満たすならば、技人国の在留資格内で認めるというものです。

その要件とは次のとおりです。

  • 日本人の大卒社員等に対しても同様に行われる実務研修の一環であること
  • 在留期間の大半を占めるようなものではないこと
  • 合理性、相当性があること

日本人同様要件

毎年、日本人の大卒新入社員を受入れている会社は、そう多くはないはずです。しかし、大卒社員「等」とあるので、中途採用も含むと考えてよさそうです。

ただ、中途採用といっても毎年ある会社は少なく、また、研修制度のカリキュラムを整備して実施している中小企業は少数派です。

過去の事例では、それまで実務研修を行って来なかった会社でも、初めて外国人雇用するにあたって研修期間の計画書を提出して許可されたものがあります。

研修期間要件

研修の期間は、雇用予定期間によります。「期限の定めなし」であれば、1年を超えるものであっても、また、たとえば3年目、5年目といった区切りでスキルアップのための研修を一律に否定していません。

合理性、相当性

研修期間が1年を超える場合は、研修計画を提出してその合理性が判断されるとあります。なにをもって合理性があると判断するかは判断者の社会通念に委ねられることになります。

事例では、営業マンの研修で製造現場の知識・経験を身に着ける研修は、その重要性をいくら強調しても理解してもらえません。製造ラインに入ってそのままずっと働かせるのだろうというバイアスがあるのでしょう。

研修内容に日本人と差異がある場合は、その差異について相当性が判断されます。

「合理性」要件について、ひと言

合理性という要件は、だれでも簡単に事実をあてはめて判断できるものではありません。また、簡単にあてはめができる要件ばかりでしたら、それを逆手にとる申請を排除することができません。

よって、合理性という規範的な要件は必要でしょう。ただそのかわり、判断者には高度な洞察力が必要とされていることの自覚をもっていただきたいものです。


参考資料:「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について(出入国在留管理庁)
http://www.moj.go.jp/isa/content/001343659.pdf