上陸拒否事由のある人の入国・再入国、2通りの手続を紹介

今回は、上陸拒否事由に該当する人が日本に入国や再入国する場合について紹介します。

配偶者が退去強制された、あるいは退去強制まではされなかったが上陸拒否事由には該当するという方、ご参考になれば幸いです。

この記事のダイジェスト

  • 入管法には上陸拒否事由(法5条)が規定されています。
  • これに該当すると、一定期間あるいは無期限にわたって日本に入国することができなくなります。
  • 入国できる例外的な手段として、上陸特別許可(法12条)があります。
  • 平成21年に上陸の拒否の特例(法5条の2)が新設されました。この適用を受けると、上陸特別許可を受けなくても入国することができます。
  • 上陸の拒否の特例を受けるには一定の条件があります。

上陸拒否事由

14の上陸拒否事由が列挙されています。

国家が自国にとって好ましくないと認める外国人の類型です。

入国拒否期間

一定期間(1年から10年)のみ入国を拒否する事由と、無期限にわたって入国を拒否する事由があります。

たとえば、オーバーステイで退去強制されると5年間入国が拒否されます。

また、日本や日本以外の国の法令に違反して1年以上の懲役又は禁固などに処せられた場合は無期限に上陸が拒否されます。

上陸特別許可

上陸拒否期間に上陸する場合は、入国審査官、特別審理官、法務大臣と三段階の手続きを経る上陸特別許可(法務大臣の裁決の特例)を受けなければなりません。

許可をうけると、無期限の上陸拒否事由にあたる場合や上陸拒否期間が経過していない場合であっても上陸が許可されます。

① 再入国の許可を受けているとき ② 人身取引等により他人の支配下におかれて本邦に入ったとき ③ その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるとき、です。

③ は、たとえば、外国人が該当する上陸拒否事由が重大なものではなく、他方、その外国人の配偶者が日本人であるなどの場合です。

ただ、法務大臣の裁量が大きいため上陸できるかどうかは極めて不安定です。

これに対して、上陸拒否の特例を受けて「通知書」を得ておけばまず安心です。

上陸拒否の特例

上陸の拒否の特例を受けるには一定の条件があります。

  1. 上陸拒否事由(法5条1項)のうち、4号、5号、7号、9号、又は9号の2に該当すること
  2. 再入国の許可を得ていること

例えば、正規在留中の外国人が薬物事犯により刑に処せられ、これが退去強制事由に該当して退去強制手続きがとられた結果、法務大臣の在留特別許可を受けて再び正規に在留している場合でも、薬物事犯により刑に処せられたという事実は第5条第1項5号の上陸拒否事由に該当し、無期限にその上陸が拒否されるのが原則であるところ、このような特定の事由がある外国人に対して法務大臣が再入国許可を与えた場合である。(出入国管理及び難民認定法 逐条解説 坂中、斎藤)

もしくは、

  1. 在留資格認定証明書の交付を受けていること又は日本国領事館の査証(法務大臣との協議を経たものに限る)を受けていること
  2. 上陸拒否事由(法5条)のうち、4号、5号、7号、9号、又は9号の2に該当することとなってから相当の期間が経過していること
  3. その他特別の理由があると法務大臣が認めること

これらの場合には、上陸拒否事由(法5条)のうち、4号、5号、7号、9号、又は9号の2のみによっては上陸を拒否しないことができます。

ただ、上記の条件が満たされると必ず特例の適用が受けられるわけではありません。

実務では、配偶者が日本人の場合か正規に在留する外国人の場合にしか認められていないようです。

上陸を拒否しないこととしたときは、「通知書」を交付されます。これを上陸の際に携行しなければなりません。

まとめ

もともと、上陸の基準をみたしていない者の入国を認める制度ですから、申請するにはしっかりと準備をする必要があります。

上陸拒否の特例を求める申請は存在しません。

手続き自体は通常の在留資格認定証明書交付申請や在留関係諸手続きですが、その立証資料(必要性、許容性)などはしっかりと収集し、提出する必要があります。

新潟市中央区女池南2-2-10-2C 佐々木行政書士事務所