今の国会で入管法改正案が成立する見通しだとの報道があります。
今回は、主な改正点のうち、在留資格が取消されるケースが増えることについてご紹介します。
今の入管法では、「活動を継続して3か月行わないで在留している場合」を取消の対象としています。
※ 別表第一に掲げる活動のみ、例:技術・人文知識・国際業務、技能、技能実習、留学など
改正法では、「活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留している場合」が取消事由として追加されます。
現行法の「活動を継続して3か月以上行わない」との取消事由はそのままで、新たに「活動を行っておらず,かつ,他の活動を行い又は行おう として在留している場合」も取消しの対象になります。
ということは、たとえば活動を継続して行っていない期間がたった1か月だとしても、他の活動を行い又は行おうとして在留していると判断されると在留資格が取消される危険があります。
さらに、逃亡の危険があると判断されると直ちに退去強制されることもあります。
なお、日本人の配偶者等は、別表第二に含まれる在留資格ですので今回の改正とは関係ありません。
恣意的な運用が怖い
この改正案が成立すれば、在留資格が取消されるケースが増えることは間違いありません。
ただ、問題は「(他の活動を)行おうとして在留している」という要件です。
客観的に他の活動を行っているのであればともかく、「行おうとしている」としたのはあまりに広げすぎではないでしょうか。
また、「行おうとしている」とは恣意的な運用も可能になってしまわないでしょうか。
改正の背景として、在留資格を不正に取得する者等(いわゆる偽装滞在者)が問題と なっていること。また,偽装等の手口が悪質・巧妙化していることが挙げられています。
そうだとしても現行法の「継続して3か月以上行わない」との規定で対処できると思うのですが、また、そもそも3か月を待たずに在留資格を取消さなければならない事例とはどんなものでしょうか?
まとめ
今後ますます、偽装滞在者対策は厳格になっていくと思います。
在留資格が取消されるケースは、実はそれほど多くはなかったのですが次第に増えていくでしょう。
在留資格をつまらないミスで失わないように注意してください。