5500字でどこよりも詳しく解説!家族を呼び寄せる家族滞在ビザ

こんにちは、ビザ新潟コンサルティングです。

今回は家族滞在ビザの条件と申請について網羅的に書いてみました。記事はすべて入国・在留審査要領(出入国在留管理局)及び出入国在留管理局ホームページが参照元です。

「家族滞在ビザ」は、一定の在留資格(以下、ビザ)をもって日本に在留する外国人の扶養家族を受入れるため設けられたものです。「家族滞在ビザ」で在留する外国人は、その扶養者である配偶者又は親が日本に在留する間に限って、日本に在留できます。

1 家族滞在ビザの該当範囲

家族滞在ビザの該当範囲(資格該当性)は、次の⑴と⑵からなります。(法別表1から抜粋して編集)

<家族滞在の該当範囲>
⑴ 一の表、二の表又は三の表の上欄の在留資格(外交、公用、特定技能(2の表の特定技能の項の下欄第1号に係るものに限る。)技能実習及び短期滞在を除く。)をもって在留する者又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者

⑵ ア.扶養を受ける  イ.配偶者又は子(として行う)  ウ.日常的な活動

⑴は扶養者のビザの範囲を画し、⑵はそれぞれの意味内容が定められています。詳しくは後記「3 家族滞在ビザの具体的な内容」で詳しく解説します。

2 申請に必要な書類

⑴ 扶養者との身分関係を証する文書
 ア 戸籍謄本、イ 婚姻届受理証明書、ウ 結婚証明書、エ 出生証明書、オ ア~エに準ずる文書 のいずれか

⑵ 扶養者の在留カード又は旅券の写し

⑶ 扶養者の職業及び収入を証する文書
 ア 扶養者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行っている場合
  (ア)在職証明書又は営業許可書の写し等
  (イ)住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
 イ 扶養者が上記ア以外の活動を行っている場合
  (ア)扶養者名義の預金残高証明書
  (イ)給付金額及び給付期間を明示した奨学金給付に関する証明書
  (ウ)上記(ア)又は(イ)に準ずる文書

【補足】
※ ここに挙げたのは、申請に標準的な提出書類です。ケースによっては準備する書類が増える場合があります。
  例えば、子の場合、在学証明書のほかに、養子縁組していること、扶養権があることを証する書類、
  さらに送金記録や成年に近い年齢の場合は扶養の必要性を説明する文書を提出するケースもあります。
  また、配偶者・子と同居を推認させる資料としてはアパートなどの賃貸借契約書があります。

※ 外国語の文書はすべて日本語訳をつけて提出するのが原則です。
  

申請にあたっては、最新の情報確認をご確認ください。(入管ホームページにジャンプします)
在留資格認定証明書交付申請(ビザを初めて申請するとき)
在留期間更新許可申請(ビザの期間を延長するとき)
在留資格変更許可申請(ビザの種類を変更するとき)

3 家族滞在ビザの具体的な条件

⑴ 扶養する者のビザについて

上記<家族滞在の該当範囲>の⑴は一読して分かりずらい文章ですが、要するに、扶養する者のビザの範囲が限定されていること、つまり一部のビザが除外されることが書かれています。

【扶養する者のビザ】教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技術、特定技能2号、文化活動、留学(基準省令第1号イ又はロに該当するものに限る)
 扶養する者のビザがこれらのビザのいずかにあたる場合は、問題ありません。

【除外されるビザ】外交、公用、特定技能1号、技能実習、短期滞在、研修、家族滞在、特定活動及び別表第二の永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
 扶養する者のビザがこれら【除外されるビザ】にあたる場合、その配偶者又は子は家族滞在ビザに該当せず、家族滞在ビザ以外のビザの可能性を検討することになります。

※ 専修学校の「留学」ビザに注意:留学ビザであっても専修学校の高等課程、一般課程である場合は除外されます(基準省令第1号ハに該当)。専門課程のみが扶養する者のビザである点、注意が必要です。

⑵ 語句の解釈について

ア.扶養を受ける

(ア) 扶養者に経済的に依存していること、監護養育を受けていること

配偶者であれば原則として同居を前提とし経済的に依存していることを、子であれば扶養者の監護養育を受けていることを要します。

経済的に独立している配偶者や子としての活動は家族滞在ビザに含まれないので注意が必要です。その場合は、他のビザを検討することになります。

※ 就労するなどして経済的に独立している配偶者及び子は速やかに家族滞在ビザ以外の在留資格(いわゆる就労ビザ)への変更が必要です。これを怠ると、次回の更新が不許可となったり、ビザが取り消されたり、また資格外活動罪が成立し退去強制のおそれがあります。

(イ) 扶養する者に扶養の意思と経済的裏付けがあること

扶養者が扶養の意思を有し、かつ、扶養することが可能な資金的裏付けを有すると認められることが必要です。

資金的裏付けを有するかどうかは、年収や預貯金等で判断されます。
必要な年収や預貯金の額は明示されていませんが、住居地の生活保護給付額や国民年金の基礎年金額(78万円×世帯人数)が目安になっていると推測されます。(注1)

なお、扶養者が「文化活動」又は「留学」の場合、扶養者の経費支弁能力と認める資産等は扶養能力と認め、また扶養者及び扶養を受ける者が資格外活動許可の範囲内で行ったアルバイトなどによる預貯金は扶養能力として認め、さらに第三者による援助(奨学金など)についても、援助の経緯等を勘案し、安定・継続して援助することが確実なものについて認めています。

(注1)審査要領の記載から推測されます。
生活保護給付額・・・扶養者のビザが留学又は文化活動である場合に目安とするとの記載あり
基礎年金額・・・・・老親を呼び寄せて扶養する場合の目安とするとの記載あり

(ウ) 20歳以上の子

20歳以上の子であっても学生であるなど、その扶養を受けている者は含まれます。

イ.配偶者・子

配偶者とは、現に婚姻が法律上有効に存続中の者をいい、離別した者、死別した者及び内縁の者は含まれません。また、外国で有効に成立した同性婚による者や、いわゆる第二夫人も含まれません。

子には、嫡出子のほか、養子及び認知された非嫡出子が含まれます。また、成年に達した者も含まれます。

ウ.日常的な活動

日常的な活動には、教育機関において教育を受ける活動なども含まれますが、収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動は含まれません。

なお、包括的に資格外活動許可を得て週28時間以内のアルバイトなどは可能です。

4 申請および審査のポイント

⑴ ビザの決定時(認定、変更)

審査は以下の条件について行われます。

ア 申請人と扶養者の身分関係 イ 扶養者のビザの種類 ウ 扶養者の扶養意思
エ 扶養者の扶養能力 オ 扶養者との同居 カ 現に扶養・監護養育を受けているか否か
キ 入国目的

ことに、エの扶養者の扶養能力、オの扶養者との同居、カの現に扶養・監護教育を受けているか否かが重要な審査ポイントです。上記「3 家族滞在ビザの具体的な内容」の内容が審査されることはいうまでもありません。

それぞれ、客観的な証拠となる書面が必要です。たとえば、エは収入や資産を証明する書面、オは同居するに十分な広さのある住居の賃貸借契約書、カは扶養・監護養育が継続していることを証明する送金記録などです。

また、扶養を受ける子が成年に近い年齢である場合や扶養者が後から家族を呼び寄せる場合には、不許可となるケースもあり、就労目的ではないことを説明する書面の提出も検討すべきでしょう。

⑵ ビザの更新時

ビザの決定時におけるア~オのほか、とくにカの現に扶養・監護養育を受けているか否かという条件ついては、決定時よりも慎重に審査される傾向にあります。

5 高校卒業後に就職するための定住者ビザ、特定活動ビザに変更するための条件

以下は、家族滞在ビザで在留する子が、一定の条件を満たす場合に日本での就労を認めるという近時創設された制度です。変更できるビザは定住者、特定活動のいずれかです。
※ 高等学校卒業後に日本での就労を考えている外国籍を有する高校生の方へ(PDF、入管スライドにジャンプします)

⑴「定住者」ビザへの変更の条件

ア 日本の義務教育を修了していること
イ 日本の高等学校を卒業していること又は卒業見込みであること
ウ 入国後、引き続き「家族滞在」の在留資格をもって日本に在留していること
 ※ 「家族滞在」以外の在留資格で在留していても、「家族滞在」の在留資格該当性がある方(「留学」等)は対象となる。
エ 入国時に18歳未満であること
オ 就労先が決定(内定を含む。)していること
 ※ 資格外活動許可の範囲(1週につき28時間)を超えて就労する場合に対象となる。
カ 住居地の届出等、公的義務を履行していること

【提出資料 変更・更新】入管ホームページにジャンプします

⑵「特定活動」ビザへの変更の条件

ア 日本の高等学校を卒業していること又は卒業見込みであること
 ※ 高等学校に編入している場合は、卒業に加えて、日本語能力試験N2程度の日本語能力を有していることが必要
イ 扶養者が身元保証人として在留していること
ウ 入国後、引き続き「家族滞在」の在留資格をもって日本に在留していること
 ※ 「家族滞在」以外の在留資格で在留していても、「家族滞在」の在留資格該当性がある方(「留学」等)は対象となる。
エ 入国時に18歳未満であること
オ 就労先が決定(内定を含む。)していること
 ※ 資格外活動許可の範囲(1週につき28時間)を超えて就労する場合に対象となる。
カ 住居地の届出等、公的義務を履行していること

【提出資料 変更・更新】入管ホームページにジャンプします

6 家族で永住申請する場合の注意点

永住許可申請は通常家族そろって行いますが、その結果扶養者のみが永住を許可され、その子がなんらかの理由で不許可となることもあり得ます。

「家族滞在ビザ」をもって在留する子の扶養者についてのみ永住が許可された場合、子は「家族滞在ビザ」の在留資格該当性を失ってしまいます。「家族滞在」でいう扶養者のビザの範囲に「永住者」はないからです。

子が未成年ならば、「定住者」(第6号イ)へのビザの変更許可を受けることで在留を継続することができます。
しかし、子が成人に達している場合は、該当するビザが存在しないことあり得ます。

よって、家族で永住許可を申請する場合には、扶養者だけが永住を許可される事態も想定して、子のビザの変更の可否についても検討しておく必要があります。

なにより、子も同時に永住許可を受けられるのかについては慎重な検討が必要です。

なお、配偶者は永住が不許可とされても「永住者の配偶者等」に変更できるので問題ありません。

7 家族滞在ビザで在留中の届出

入管への届出が必要なことを知らない、あるいは知っていても軽く考えている人が多いのが現状です。入管から届けるように指摘を受けた後では遅いのです、救済の手だてがないのです。安定した在留を望むなら必ず行ってください。

⑴ 新規上陸後の住居地の届出
 在留カード又は後日在留カードを交付する旨の記載を受けた旅券を市区町村の窓口に提示して、住民基本台帳法第30条の46に規定する届出を行った場合には、住居地の届出を行ったものとみなされます。(住居地届出書の提出は不要です。)
※ 市町村に届ければ、入管に届ける必要はありません。

(参考)
 転入をした日から十四日以内に、同条第一項第一号、第二号及び第五号に掲げる事項、出生の年月日、男女の別、国籍等、外国人住民となつた年月日並びに同表の上欄に掲げる者の区分に応じそれぞれ同表の下欄に掲げる事項を市町村長に届け出なければならない。(住基法30条の46から抜粋)

⑵ 住居地変更の届出
 新住居に移転してから14日以内に在留カードを市区町村の窓口に持参して、住民基本台帳法第22条、第23条又は第30条の46に規定する届出を行った場合には、住居地の変更届出を行ったものとみなされます。(住居地届出書の提出は不要です。)
※ 市町村に届ければ、入管に届ける必要はありません。

⑶ 在留カード記載事項の変更届(住居地以外)
 氏名、生年月日、性別又は国籍・地域に変更が生じた場合に14日以内に入管に「在留カード記載事項変更届書」を提出して行います。
※ 入管に届出

⑷ 配偶者に関する届出
 配偶者と離別・死別した場合は14日以内に入管に届ける。オンラインで届けることも可能。オンラインは利用者登録が必要です。
 入管に届出

お読みいただきありがとうございました。


出典:入国・在留審査要領(出入国在留管理局)、出入国在留管理局ホームページ

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